2022.05.26
# 戦争

ゼロ戦隊に「恥辱の大敗」を喫した中国軍将兵がつけさせられたバッジに書かれた「一文字の漢字」

日本と中華民国が泥沼の戦いを続けていた1941年、日本海軍の零戦隊が中国空軍の天水飛行場を急襲、飛行機全機を撃墜、あるいは地上で炎上させた。「天水空戰」と呼ばれるこの戦いは、中国では「空軍史上、最も恥辱の一戦」とされている。中国軍の将兵は敗戦の責任を問われ、全員が胸に「恥」の文字の入ったバッジをつけさせられたという。

2020年、中国でこの戦いのドキュメンタリー番組が制作されることになり、筆者の元へ取材依頼が舞い込んできたのだが――。

昭和16年5月26日、鈴木實大尉率いる零戦隊の銃撃で炎上する天水飛行場(大石英男一空曹撮影)
 

日本ではあまり知られていない「天水空戦」

新型コロナウィルスが世界中で猛威を振るっていた2020年の初秋、私のもとへ日本人ディレクターを通じて中国のテレビ制作者から取材協力の要請があった。

この年は戦後75年にあたり、中国国内でもかつての日本との戦争を見直す機運が高まっているという。

中国側の企画は「天水空戰」。――と言っても、大半の日本人にとっては何のことかわからないだろう。

昭和16(1941)年5月26日、中国山西省の運城(うんじょう)基地を発進した日本海軍第十二航空隊の零式艦上戦闘機(零戦)11機が甘肅(かんしゅく)省蘭州の中華民国空軍天水基地を急襲、空戦で中国空軍の精鋭・第5大隊の戦闘機5機を撃墜、地上銃撃で18機を炎上させ、壊滅させた戦いである。日本側の損害はなく、まさに一方的な戦いだった。

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