2022.06.04
# マンガ

フォロワー数人だけど毎日大量ツイート…ツイッターの「鍵垢」でつぶやく女子には“理由”がある

痛みをともなわない

――なんでそんなにツイートしているのに鍵垢なのかって? 思ったことは吐き出したいけど、知らん人にジャッジされたくないから。

SNSの「鍵垢」でしか本音を吐露できない主人公が、“星屑男子”(顔のいいクズ)に雑に扱われたり、街なかで人にわざとぶつかられたり、「女」の役割を押し付けられたり……。モヤモヤを抱えて生きる女性の本音を赤裸々に描く、『わたしたちは無痛恋愛がしたい ~鍵垢女子と星屑男子とフェミおじさん~』瀧波ユカリがSNSを中心に話題を集めています。

「わたしたちは無痛恋愛がしたい ~鍵垢女子と星屑男子とフェミおじさん~」(講談社)第1巻が発売中

主人公のみなみは、東京で会社員として働く23歳。フォロワー4人(全員友だち。リア友とネット半々。でも2人はもう放置垢、レスくれるのはよく会う友だち1人だけ)のツイッターアカウントに一日40ツイート以上を投稿するのが日課です。

(c)瀧波ユカリ/講談社

合コンに参加するなど“彼氏を作る努力”はしているけれど、実際は彼女持ちのイケメン・恵比島のセフレどまり。そんなみなみが夢見ているのは「無痛恋愛」だといいます。

「しんどくなったり、のたうちまわったりしたくないから、やっぱ無痛がいいな~恋愛は」「友達みたいな…穏やかで、私が私でいられる。でもセックスもちゃんとする。やっぱあれだね、ほどほどに好きなくらいがいーよね。ドキドキもしなくていい。空気みたいな…」(みなみ)

ある日、みなみは街なかで、男性が若い女性をねらってわざとぶつかってくる現象“わざぶつ”の被害に遭い倒れてしまいます。虚無感に駆られていたみなみを助けてくれたのは、年上男性。しかも、むやみに手を差し伸べるのではなく、距離感のちょうどいい「女子心がめちゃくちゃ分かっている」おじさんだったのです。この出会いをきっかけに、“鍵垢女子”と通称“フェミおじさん”の不思議な交流がはじまって――。

(c)瀧波ユカリ/講談社

今の時代に流れる雰囲気をユーモアを交えて映し出す本作。『臨死!! 江古田ちゃん』『あさはかな夢みし』『モトカレマニア』など、さまざまな女子の本音を描いてきた作者・瀧波ユカリさんに作品の構想を聞きました。

 

恋愛から痛みを取り去れば幸せになれる?

――まず、タイトルの「無痛恋愛」というパワーワードに思わず目が行きます。この言葉に由来はあるのでしょうか。

「無痛恋愛」という言葉、脳にグッとくるインパクトがありますよね。私も最初に目にした時には、ちょっと時間が止まったように感じるくらいの衝撃を受けました。

「無痛恋愛」は漫画の中でも紹介しているとおり『21世紀の恋愛』というスウェーデンの漫画家リーヴ・ストロームクヴィストの作品の中にでてくるものです(※本の中では「無痛」恋愛と記されています。「21世紀の恋愛」p101、p116参照)

(c)瀧波ユカリ/講談社

『21世紀の恋愛』でストロームクヴィストは、ビヨンセの歌『Irreplaceable』を例にとり、男性に好かれ続けるよう女性が耐えるタイプの従来の恋愛のカウンターとして、恋をするのも終わらせるのも女性自身で決める、振り回されない態度で臨む恋愛スタイルが提唱されているとして、それを「あんたのかわりはすぐに見つかる主義」と名付けました。

この恋愛観に基づいて行動すれば、恋愛を無痛にすることができるかもしれない。しかし、恋愛から痛みを取り去れば幸せになれるのか? …というように、ストロームクヴィストは考察を展開していきます。

この考察の中では「無痛恋愛」という言葉は、恋愛を自分でコントロールすることで得られる痛みや苦しみのない恋愛、という意味合いで使われています。

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