2022.05.31

バスケ・Bリーグ急成長のウラで問題視される「エージェント」巡るトラブルの実態

口約束に、虚偽の説明も…

「プロスポーツ」と「エージェント」

選手とクラブをつなぎ、選手に代わって報酬に関する交渉を行い、ときにはプライベートまでサポートする――。それがエージェントの役割だ。とはいえ今も“強欲の象徴”としてエージェントを敬遠するスポーツファンはいるだろう。

スポーツビジネスは米欧ともに1990年代から急拡大を遂げ、選手の年俸も大幅に高騰した。労使の対立も先鋭化し、ファンを失望させる出来事が増えた。例えばアメリカの四大スポーツでは選手側のストライキ、オーナー側のロックアウトといったファン不在の紛争が過去に起こっている。その一因はエージェントの存在だ。

1996年には映画『ザ・エージェント』がトム・クルーズの主演で公開され、アカデミー作品賞、主演男優賞などの各賞にノミネートされた。ある意味でこの仕事がそれだけ認知されている、スポーツ界の主要キャストだった証明だ。

日本のプロスポーツにおいて、エージェントは相対的に新しい仕事だ。1990年代以前から競技を問わず外国人選手の獲得にはエージェントが関与していたし、国内でも後見人が非公式に選手契約へ関与していたケースはあるはずだ。ただJリーグの開幕が1993年で、本格的なエージェントが日本人選手のサポートを始めたのはその直後だ。この国最大のプロスポーツであるプロ野球は1999年までエージェントの利用を禁止していた。今もエージェントは日弁連所属の日本人弁護士に限られ、さらに複数のクライアントを抱えることが禁止されている。

 

バスケ界での「トラブル」は?

バスケットボールはサッカー、野球に比べてさらに後発で、日本人エージェントの活動がスタートしたのは21世紀に入ってから。これだけ活発になったのは2016年のBリーグ開幕後だ。

photo by gettyimages

日本のバスケットボール界は2015年1月に国際バスケットボール連盟(FIBA)の制裁処分を受け、それを機に協会、男子のトップリーグの仕組みが大きく刷新された。ただしエージェントの活動に関する規定は十分に整備されず残されている。

関連記事