一般的に給料は減り続けている。国税庁が毎年発表している『民間給与実態統計調査』をひもとくと、2020(令和2)年の給与所得者の年間給与は平均433万円だ。前年より0.8%(3千円程度)減っている。その前年は1%減という結果だ。

一方で高収入な人もいる。しかし彼らは、それ相応の生活をしており、出費も多い。高所得者に限って貯金ができないことを「高所得貧乏」という。
キャリア10年以上、3000件以上の調査実績がある私立探偵・山村佳子さんは「高所得な人ほど、気分転換目的に浮気をする傾向があります」と語る。彼女は離婚調査に定評がある「リッツ横浜探偵社」の代表だ。この連載は、調査だけでなく、調査後の依頼者のケアまで行う山村氏が見た、現代家族の肖像でもある。今回相談に来たのは、まさに「高所得」を絵に書いたような弁護士夫婦。経営する弁護士事務所も順調な中、夫のお金の「使い方」で妻が激怒したのだという。それはどういうことなのか。

山村佳子
私立探偵、夫婦カウンセラー、探偵。JADP認定 メンタル心理アドバイザー JADP認定 夫婦カウンセラー。神奈川県横浜市で生まれ育つ。フェリス女学院大学在学中から、探偵の仕事を開始。卒業後は化粧品メーカーなどに勤務。2013年に5年間の修行を経て、リッツ横浜探偵社を設立。豊富な調査とカウンセリングを持つ女性探偵として注目を集める。テレビやWEB連載など様々なメディアで活躍している。
リッツ横浜探偵社:https://ritztantei.com/
山村佳子さん連載「探偵が見た家族の肖像」いままでの記事はこちら
 

高級品で身を固めた弁護士事務所経営者の女性

今回の依頼者は、英恵さん(仮名・45歳)。夫とともに弁護士事務所を経営しています。多くの会社の顧問をしており、たくさんの弁護士が所属。見た目もそれにふさわしく、1着100万円はするスーツをビシッと着こなし、さりげなく持っているバッグは200万円以上する入手困難な名品。それが自然に馴染んでおり、嫌味な雰囲気は全くありません。

「結婚15年になる夫(45歳)について調べてほしいのです。ここ半年くらい、夫がとてもよそよそしくなりました。あんなに熱心だった子供たちの教育についても無関心になったのです」

夫は名門私立大学を卒業しています。そこで英恵さんと出会い、結婚しました。英恵さんは地方出身で、付属高校からその大学に進学しないと周囲の反応が異なることを知っていました。そこで中学校から2人の子供を付属校に入学させたそうです。

「家族一丸となって頑張って、お姉ちゃんだけでなく、下の息子も合格した。校友会組織の結束が固く、夫はコロナであろうとなかろうと、飲み会や学校イベントなどに積極的に関わっていました。それが、ここ半年くらいでぱったりと行かなくなってしまったんです」

夫の写真を見せていただくと、見た目が若く、柔らかい雰囲気のイケメンです。高身長でとてもモテそう。写真を拡大してみると、着ているジャージの裾にさりげなくハイブランドのロゴが光っています。それは入手困難なコラボデザインで、夫のセンスがいいことをお伝えしました。

センスがよく、魅力的な夫 Photo by iStock

「気付いてくれましたか! 夫がここまでオシャレになったのは、私がプロデュースしているからです。夫は苦労知らずで育ったアッパラパーで、司法試験には合格して弁護士を名乗ってはいますが、仕事が嫌い。あまりにも仕事をしないので、同じく弁護士の私が必死に働き事務所を立ち上げたのです」