いつも何から食べる?「食べ順ダイエット」の効果を考察してみた

時間栄養学の進展に期待

食事をするときに、まずサラダなどの野菜、次に汁物を摂り、つづいて主菜のタンパク質、最後に主食の炭水化物を食べるという「食べ順ダイエット」。この順番で食事をすれば、血糖値が上がりにくくなり、脂肪の吸収が抑えられ、結果として、太りにくくなる、ということですが、これ科学的に正しいのでしょうか?

前回の「糖」の栄養素としての考察に続いて、今回は、この食べ順ダイエットを科学的に検証してみたいと思います。

「野菜を先に食べる」ことはダイエットになるのか

「食べ順ダイエット」というものがときどき話題になります。

食事をするときに、まずサラダなどの野菜、次に汁物を摂り、つづいて主菜のタンパク質、最後に主食の炭水化物を食べるというもので、この順番で食事をすれば、血糖値が上がりにくくなり、脂肪の吸収が抑えられ、結果として、太りにくくなるのだそうです。このダイエットをしようという意識はなくても、「まずは野菜から」を実行している人も多いのではないでしょうか。

【写真】食事の順番、何から食べよう?さて、何から食べよう? photo by gettyimages

食べ順ダイエットのきっかけになったのは、2007年ごろに流行したキャベツダイエットではないかといわれます。

京都の大学病院の医師が肥満治療として、食前に大量のキャベツを食べるという方法を考案しました。そうすれば、低カロリーの食事でも満足して、体重が減少するというしくみです。その効果が注目され、キャベツダイエットがブームになりました。

それをきっかけに野菜を先に食べることが、肥満の防止や糖尿病の予防に効果があると考えられています。

糖尿病で効果のある理由

食べ順ダイエットが糖尿病の予防に効果があるのは、どうしてでしょうか? その前に、糖尿病がどういう病気か、簡単に見てみたいと思います。

糖尿病は、摂取した栄養素を正常に代謝できなくなり、血液中に含まれるブドウ糖の量(血糖値)の高い状態が続く病態を示す疾患です。血糖値は、空腹時に70〜90mg/dlで、食後に一時的に上昇しますが、120分後にはもとの値に戻ります。

脳は通常ブドウ糖を唯一のエネルギー源としているので、低血糖になると影響を大きく受け、ひどい場合は昏睡状態になり死を招くこともあります。そのような重篤な状態にならないために、ふだんは脳と体のしくみによって血糖値は厳密に調節されています。

そのしくみは、まず血糖値が低下すると、脳の視床下部で感知されます。すると、交感神経を介してグルカゴン(血糖値を上げるホルモン)を放出させ、肝臓のグリコーゲンを分して血液中にブドウ糖を放出します。一方、血糖値が上昇すると、膵臓からインスリン(血糖値を下げるホルモン)を分泌します。

肝臓はブドウ糖を取り込み、一部はグリコーゲンとして蓄えられます。さらに、脂肪組織や筋肉に取り込まれることで血糖値は上がらず、徐々にもとの値に戻ります。このように血糖値は、細胞が取り込む量と血液中への供給量のバランスによって決まります。

【写真】血糖値は、細胞が取り込む糖の量と血液中への供給量のバランス血糖値は、細胞が取り込む量と血液中への供給量のバランスによって決まる photo by gettyimages

血糖値を下げるホルモンはインスリンだけなのに対し、血糖値を上げるホルモンはグルカゴンのほか、アドレナリン、糖質コルチコイドなど複数あります。生体にとって、血糖値の低下は生存の危機になります。そのため、多くの機構を使って、なんとか食い止めようとするのです。

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