参院選・自民の比例「19〜21議席」大勝予想で、市場関係者の悲鳴「これでは岸田不況が起こっちゃうよ!」

小倉 健一 プロフィール

経済にも「対症療法」しかできない

中国経済の中心である上海のロックダウンから1ヵ月、習近平国家主席による「ゼロコロナ」政策は電子機器などの製造拠点にダメージを与えている。

物流や工場の不安定化により、夏には欠かせないエアコンだけではなく、洗濯機や電子レンジなどの新規受注が停止され、野菜やゴミ袋まで品薄・納品遅れが目立っているのだ。新型コロナによる打撃に加えて日本企業は業績の下押し要因を抱え、中国経済の景気減速リスクも重なる。

ロシアのウクライナへの軍事侵攻による影響も深刻だ。世界規模で不確実性が高まり原油価格が高騰、国民生活の不安は増幅する。

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岸田首相は4月末、1リットルあたりのレギュラーガソリン価格が200円を超えた場合でも、ガソリンスタンドでの市中価格を168円程度に抑える補填策を発表した。だが、5月9日には世界3位の産油国であるロシアからの石油を原則禁輸する方針を表明し、輸入停止による価格高騰への懸念は尽きない。

 

足下では、日本と米国の金利差拡大などに伴い円安・ドル高が急速に進行し、約20年ぶりの水準にまで下落した。輸入品の価格上昇を価格転嫁できない「悪い円安」(鈴木俊一財務相)への警戒感も強い。首相は「急激な為替の変動は多くの関係者にとって好ましくない」とは言うものの、効果的な具体策を打ち出せないでいる。

民間調査会社「東京商工リサーチ」が4月19日発表した調査結果によると、7割近い企業が「価格転嫁できていない」と回答しており、収益圧迫への不安は大きい。対症療法に頼る岸田首相の手法に対しては、自民党内からも「資源高、穀物高を踏まえた総合的な対策が必要なのに岸田政権はできていない」との不満もあがる。

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