参院選・自民の比例「19〜21議席」大勝予想で、市場関係者の悲鳴「これでは岸田不況が起こっちゃうよ!」

小倉 健一 プロフィール

国民に好かれても、マーケットに嫌われる

岸田政権は経済政策の司令塔が不在で、自民党執行部の中でも茂木敏充幹事長と高市早苗政調会長の距離がささやかれる。

高齢者への1人当たり5000円の給付案が短期間で白紙撤回されるなど政府・与党内の調整不足も深刻だ。物価高などに対応するため公明党が早期編成を強く求めてきた補正予算案も2兆7000億円規模とインパクトに欠ける。

岸田首相は5月5日、英金融街・シティーでの講演で「私からのメッセージは1つだ。安心して日本に投資をしてほしい」「Invest in Kishida!(岸田に投資を!)」と海外投資家らを前に呼びかけた。だが、金融所得課税の強化を提唱していながら、「貯蓄から投資」へと誘導する矛盾にマーケットは疑心暗鬼だ。

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全国紙経済部記者がこう解説する。

「昨年10月4日の岸田内閣発足から3日間で株価が1200円超下落したことは『岸田ショック』と呼ばれましたが、金融所得課税の強化や自社株買い規制などが政権内から持ち上がるたびに市場関係者は落胆しています。

理想論や抽象論が多い上、コロコロと首相の発言が変わる。補正予算の規模がたった2兆7000億円というのも経済政策のやる気のなさを表しています。選挙が終われば、コロナでたくさんお金を使ったでしょ、ということで増税をするのは間違いがなさそうです。兎にも角にも岸田政権はマーケットを見て政治をしていないことだけは伝わってきますよね。こんなことを続けてマーケットに好かれるわけがない」

これまで岸田首相は「成長と分配の好循環」を通じた分厚い中間層の復活を目指すとしてきた。具体像が見えないと批判される政権の看板政策「新しい資本主義」は、6月末までに実行計画をとりまとめるという。

 

ただ、すでに傷ついている日本経済のダメージは深刻で効果的な処方箋をスピーディーに打ち出せるのか疑問が残る。

経済政策が迷走し、マーケットに嫌われる首相。国民が貯めた貯金を積極的な投資によって増やそうという「所得倍増計画」を表明したが、司令塔不在のまま今後も打つ手を欠けば、日本経済の停滞を招くだけではなく海外投資家にも見放される「岸田不況」リスクに直面することになりそうだ。

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