2022.06.04
# 学校・教育

“優秀”なだけでは生き抜けない、正解がたくさんある時代へ

新失敗学 正解をつくる技術(2)
「決められた正解を素早く出す」ことが優秀な人とされた時代から「自ら正解をつくる」ことができる人の時代へ。「正解がいくつもある時代」になった今、自分たちで正解をつくっていく必要がある。そして自分たちで正解をつくるとは、仮説ー実行ー検証を回していくことにほかならない。そのためのポイントを丁寧に解説、これから私たちが身につけるべき思考法を明らかにした書籍『新失敗学 正解をつくる技術』から注目の章をピックアップしてお届け。

正解があった時代の人材像

現代を端的に示している「VUCA」という言葉があります。「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の4つの言葉の頭文字を並べたものです。もともとは1990年代に冷戦後の複雑な国際情勢を指す言葉として流通し始めたものですが、2010年代から時代を象徴する言葉として広く使われるようになりました。変化に富んで不確実で複雑、曖昧ゆえに、「正解のない時代」と言われることもよくあります。

しかしこの言葉は、じつは不正確だと私は思っています。ただ一つの正解、すなわち唯一解によって単純に動くことのない、「正解がたくさんある時代」がいまという時代だと私は捉えているのです。

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一方、いまでも毎年3月になると、「東京大学合格者数高校別ランキング」なるものがニュースとなり、そのランキングの上下が高校の学校経営に大きな影響を与えるというような話を聞くと、時代の変化にもかかわらず、東大をはじめとする難関大学への信仰はいまでも根強く残っていると感じます。

事実、いまでも社会的には、「厳しい受験を勝ち抜いて難関大学に入った人=優秀な人」というイメージがあると思います。しかし、そうした「優秀な人」が時代の変化に対応できるのかというと少々疑問が残ります。

私は「優秀」にも大きく分けると二種類あると考えています。まずは優等生タイプの人たちです。

優等生タイプの人たちは、まず多くの知識を頭にインプットします。そのうえで、問題を数多くこなすことで、目前の問題を分析し、類似の解法パターンにあてはめるということを徹底的に学習します。ですから、実際の試験で出てくるほとんどの問題は、どこかで見たことのある「既知」の問題になるので、本番でもその問題に合った解法パターンをあてはめることで素早く対応できるのです。

 

この能力が発揮されるのは、大学受験だけではありません。国家公務員試験、司法試験、医師国家試験、企業内の昇進テストなど、いわゆるペーパーテストはみんな同じです。数多くの問題をこなすことで解法のパターンを頭に入れた彼らが、試験をパスしていくのです。

彼らが徹底した学習で身につけるのは、分析力、効率性、ミスの少なさといった能力です。与えられた課題を「正確に素早くこなす」ことができるのが彼らの最大の強みです。

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