SDGsもESGも白紙に?国連が機能不全に陥るなか、日本が国益のために追求すべき「現実的対応」の中身

中国もロシアも国連を「無視」

北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイル発射を受けて、5月27日、国連の安全保障理事会で採決された「北朝鮮制裁強化の決議案」は、中国とロシアが拒否権を行使して否決された。

2006年に北朝鮮が核実験を行った際、安保理は北朝鮮資産凍結など具体的な制裁措置を盛り込んだ制裁決議を採択した。以来、17年12月の最後の決議まで、北朝鮮制裁は全会一致で採択されてきたが、今回は中露が拒否権を発動。明らかに潮目は変わった。

ウクライナ侵攻を受けて、国連安保理は緊急特別会合を開き、ロシアを非難する決議を採択しようとしたが、ロシアが拒否権を行使したために採決できなかった。イデオロギーや政治体制の異なる米英仏中露の常任理事国が拒否権を行使するために、これまでも機能不全に陥ってきた国連は、ますます存在意義を失いつつある。

国連安保理でのネベンジャ・ロシア国連大使 Photo by GettyImages国連安保理でのネベンジャ・ロシア国連大使 Photo by GettyImages

それどころか、国連を政治体制正当化のために利用しようとする動きもある。

新疆ウイグル自治区訪問のために中国に滞在していたバチュレ国連人権高等弁務官が、5月28日、6日間の日程を終えて記者会見した。

新疆ウイグル自治区は、100万人以上の少数民族を「再教育施設」に収容するなどの人権侵害が指摘されている。国連の人権部門のトップとして17年ぶりに訪中したバチュレ氏だったが、自治区への滞在は2日だけ。しかもコロナ対策を理由に外部との接触を避けるバブル方式(泡=隔離された施設での接触)で行われ、独立性も透明性も欠き、まともな調査が行われたとはいいがたい。

 

バチュレ氏は、会見で「人権を守るという国際基準を満たすべきだ」と訴えたが、調査していないのだから説得力はない。逆に中国の馬朝旭外務次官は、「(バチュレ氏が)新疆のテロや脱過激派政策の実践と成果、信仰の自由の権利保障状況を詳しく理解した」という談話を公表した。表面的な訪問を利用された印象だ。

中国、ロシア、北朝鮮といった権威主義的専制国家が手を組み、米欧日のような民主主義国家に対抗する──。3月2日の国連総会では、ロシアのウクライナ侵攻に「強い遺憾の意を表す」という決議に対し、日米など141ヵ国が賛成したものの中国、インドなど35ヵ国が棄権、北朝鮮など5ヵ国が反対した。

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