アメリカ、カナダ、オーストラリア、資源国が強い
逆に、それらを自前で調達でき、輸出できる国の経済にとっては、この状況はプラスに働く側面もある。
アメリカ経済は、ウクライナ戦争によるダメージが小さい。国内でシェールオイル、シェールガスが採れるし、農産物・食料品の輸出額が世界第1位の農業大国でもあるからだ(ただし輸入額も世界第1位である)。
アメリカも化石燃料をすべて自国でまかなっているわけではないので、影響がないわけではない。それでも産油国であり、増産である程度代替できる分、影響を緩和できる。

アメリカが5月に0.5ポイントの利上げに踏み切れたのも、ウクライナ戦争のダメージが限定的だったからだ。
カナダとオーストラリアは、食料、エネルギーともに自給率100%を超え、余剰分は輸出に回している。これらの国々にとっては、世界に流通する総量が減った分、輸出は有利な状況にある。
これは、通貨の強さにも現れている。オーストラリアドルがこれまで上げてきたのは、化石燃料や鉄鉱石、穀物の輸出国として、他国がこれまでロシアから輸入していた分の代替需要が見込まれるためだ。