今の日本は「キャリアの倒産」を恐れる若者を量産していないか?

日本再起動のトリガーはスタートアップだ
「未来」に向けた価値向上より「今」の利益を重視する「PL脳」が若い世代を蝕む。その危機感から『ゼロからわかるファイナンシャル思考』を上梓したスタートアップ投資家の朝倉祐介氏と、早稲田大学ビジネススクール教授で『世界標準の経営理論』が広く読まれている入山章栄氏が、丸善丸の内本店主催のオンライントークイベントで「働く人と会社の成長戦略」をテーマに語り合った。「資本主義のルールブック」と言うべき「ファイナンス思考」には、PL脳を脱して未来を切り開くパワーがあるという。それを武器にして、成長を実感できない現状をどう変えたらいいのだろうか。

高校生もファイナンス思考を知ったほうがいい

朝倉:実は今日、高校生に『ゼロからわかるファイナンス思考』について講義をしてきまして。高校生には少しとっつきにくいテーマだったと思いますが、ファイナンスの考え方は私たちが住んでいる資本主義社会の土台のようなもの。社会に出る前に、ぜひ知ってほしいなと思いながらしゃべってきました。

入山:高校生にファイナンス思考。めちゃくちゃいいですね。どんな話をしてきたんですか?

朝倉:いちばん伝えたかったのは、未来に向かって価値を作るための投資を手控えてはいけないということです。働き始めると、どうしても目先の利益に目がいくけれど、未来の利益を後回しにすると自分たちがその負い目を背負うことになると。

入山:たしかに、今の会社は未来への投資より、目先の利益を追求する傾向が強いのが気になります。ファイナンスでいえば売り上げとコスト、その利益が記載される「PL(損益計算書)」を重視して、現金の増減を示す「キャッシュフロー」は二の次。でも、ビジネスの基盤はキャッシュです。最初はどの会社もキャッシュをベースにビジネスを広げていったはずなのに、会社が成熟してくるとPLが優先されるようになる。

 

朝倉: 僕も10年以上前にスタートアップを経営していましたけど、当時、何を一番見ていたかというと財務3表ではなく通帳でした。現金を見ていないと、売り上げはあるのに運転資金がなくなって倒産する、いわゆる黒字倒産も起こりますから、キャッシュがすべてでしたね。

入山:スタートアップのほうが、キャッシュの大事さはわかっていますよね。

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