もしもそれでも納得できなければ、文字通り電線を切ってしまって、配電線から自宅を「電気自立」させてみることを想像するとよい。
そうすると晴れているときしか電気は使えないので、ふつうの家庭生活はまず送れなくなる。バッテリーを沢山買って電気を貯めておくとすると、更にもっと費用がかかる。一週間曇天でも常時電気を使えるぐらいバッテリーを買っておくとなると、25円/kWhなどよりも桁違いに電気代は高くなってしまうだろう。こう考えると、スイッチを入れればいつでも使える便利な電気が25/kWhというのはとても割安だ。

いま電力不足が日本全国で問題になっているが、太陽光発電を今以上に増やしても、関東地方の電力逼迫状況はまったく解決できない。肝心なときに発電するかどうか、頼りにならないからだ。
今年3月22日は、関東地方は危うく電力不足で停電になるところだったが、天気が悪くて太陽光発電はほとんど発電していなかった(竹内純子氏によるわかりやすい説明はこちら)。電力逼迫解消のためには、火力発電を維持・増強し、原子力発電を再稼働・増強していくしかない。
最後に、以上に加えて、太陽光を大量に導入すると、太陽が照った時に一斉に発電して、余った電気は捨てることになる。このときは事業用のメガソーラーの電気を捨てることになるだろう。すでに全国至るところでそのような事態が起きている。
また火力発電は太陽の気まぐれに合わせてオンオフを繰り返すことになって、傷みやすくなるし、発電効率も下がる。太陽光発電のために新たに送電線を作れば当然お金がかかる。これらの費用負担も、結局はみな一般国民が負担する。
お金持ち以外は元も取れない?
それに、家を買える人がみな元を取れるわけでもなさそうだ。
太陽光発電のためには、日当たりのよい場所で、南向きに程よい傾斜になった広い屋根が望ましいが、そんな家を建てる余裕がある人はどれだけいるのか。
東京に家を買うという場合、たいていの場合、ギリギリの敷地に、建蔽率や容積率等を考慮してパズルのように家を建てる。屋根の向きも思うに任せない。日当たりの悪いところも多い。