2022.06.08

『ガンダム』の新作映画がマニアックすぎ…それでもビジネスが成立する深いワケ

一風変わったアニメの役割

古参ファン向けマニアック映画

結果的に、『機動戦士ガンダム』シリーズがいかに深淵で、ガンダムビジネスがいかに特異かをまざまざと見せつけた作品になっていました。

『機動戦士ガンダム』シリーズの最新映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』のことです。

6月3日から公開された本作は、“ファーストガンダム”と呼ばれる初代のテレビアニメ『機動戦士ガンダム』(1979年)のなかの、第15話「ククルス・ドアンの島」のみをリメイクした作品。公開2日で観客動員数・約15万人、興行収入・約3億円と好調なスタートを切るなど、話題となっています。

ですが、初心者が入りやすい作品の序盤を描くわけでもなく、あの有名な終盤を描くわけでもなく、全43話のド中盤の1話完結エピソードを再構築したと言えば、『ガンダム』を通って来なかった方でも、かなりマニアックな映画であるということはおわかりになるでしょう。

ここで筆者と『ガンダム』について語らせていただくと、コラムニストをしている筆者は1979年生まれで初代『機動戦士ガンダム』と同い年。幼少期にテレビで『機動戦士ガンダム』の再放送と、続編『機動戦士Zガンダム』(1985年)をリアルタイムで観て以来のガンダムファンです。映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988年)は公開当時に劇場で観ていますし、もちろん最新シリーズも含めて全『ガンダム』アニメを視聴してきています。

かつてお台場に登場した初代ガンダム[Photo by gettyimages]
 

“一見さん”にはハードルが高い

そんなガンダムファンの筆者から見ても、『ククルス・ドアンの島』は奇妙な映画化だったのです。

別の言い回しをするなら、“あまりにハードルが高い作品”といったところでしょうか。

確かに第15話は、ガンダムファンのあいだで今なお語り草になっている異彩を放った回ではありましたが、作品全体を見渡したときの重要度は低いエピソード。その証拠にテレビシリーズを再構築して大ヒットした劇場版3部作(1981年、1982年)では、この第15話は丸々カットされていました。

それほどニッチな部分にフィーチャーしているのです。

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