2022.06.07

まさにディストピア…中国の非道なウイグル弾圧が日本にもたらす深刻事態

対談:菅野志桜里×河本健一

2021年1月、ユニクロの綿のシャツのアメリカへの輸入が差し止められた。理由は綿の原料に中国共産党の傘下組織「新疆生産建設兵団(XPCC)」が関わっていたとされるからだ。アメリカは新疆生産建設兵団(XPCC)が関わる綿はウイグルの強制労働の疑いがあるとして輸入を禁じている。

ユニクロはアメリカに対し「問題がないことが確認された綿しか使用していない」と否定のコメントを出したが「強制労働なしに生産されたという証拠が不十分」として却下された。

ただし、この問題は日本ではユニクロが注目されたが、世界で販売されている綿製品の約5分の1が新疆ウイグル自治区での生産とされているので、ファッション小売業者すべてに関わってくると言っていいだろう。

また、ファッション小売業者のZARAにしても靴のスケッチャーズにしても、独自に強制労働の有無を調査しても、中国からの回答は「問題なし」となる難しさがある。そして、ユニクロやH&M、ナイキやアディダスのような「新疆ウイグル自治区で生産された綿を使用しない」と“証拠がないなかで”宣言した企業は、中国の消費者からボイコットの標的になり、企業としても打撃を受ける状況だ。そんな状況において、6月21日「推定有罪」のウイグル強制労働防止法がアメリカで施行される。

中国の習近平国家主席[Photo by gettyimages]

前編に続き、前衆議院議員で国際人道プラットフォーム代表の菅野(山尾)志桜里さんと、アメリカの調査・分析レポートを出している独立行政法人ジェトロ・ニューヨーク事務所(経済産業省の外郭団体)の所長である河本健一さんとの「ウイグル強制労働防止法」について対談をお届けする。

 

日本企業の評価が問われる

菅野:ウイグル強制労働防止法が施行されると、企業としては「アメリカには輸出できないけれども、日本国内では販売できる」という状況が生まれます。これは日本政府として、日本企業として、あるいは海外から日本への評価として、もちろん日本の消費者や投資家からもですが、耐えられるものなのでしょうか?

河本:そこは真正面から考えなくてはいけない点だと思います。日本や日本企業の評価が問われるわけですから。

ジェトロ・ニューヨーク次長 米山洋:日本の大企業はレピュテーションリスク(企業に対する否定的な評価や評判が広まることによって、企業の信用やブランド価値が低下し、損失を被る危険度)を気にされています。特にアメリカでビジネスをしている日本の大企業は、アメリカでのレピュテーションリスクの観点から「アメリカで禁止されている製品(ウイグルの強制労働で作られた物)が日本でばんばんで売られている」という状況になることは今後あまり想定されないのかなと思います。

菅野:とはいえ、まだウイグルの綿製品は日本に残っています。トマト関連も日本に残っています。さらに、おそらく6月21日以降は綿やトマト、そして太陽光パネル以外にも、アメリカでぞくぞく販売禁止されることになる製品が、日本では販売されているという状況が十分予想されますよね。

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