わたしは波風を立てたい
沖縄は今、到底、「復帰50年」を祝えるような状況にはない。
わたしたちヤマトゥンチュ(いわゆる「本土」に生まれ育った日本人)は、長い間沖縄の人びとを酷い目に遭わせてきているのだが、こんなときだけ「復帰50周年式典」とか何とか言って寄り添ったフリをする欺瞞から、いい加減抜け出したい。
沖縄の人びとの思いに寄り添ったフリをしたり沖縄の苦境に同情したりする前に、沖縄を踏みつけているお前のその足をどけろ!
良識ある心優しき沖縄の人びとが心の底からそう言わざるを得ない年2022年の5月末、東京から沖縄に移り住んで16年を経たに過ぎないヤマトゥンチュの筆者が、沖縄からの通信を始めさせていただく。
まず第一に、沖縄の現実を見て見ぬフリすることによって己の日常の安泰を保とうとしている人びとや、あるいは沖縄の人びとを酷い目に遭わせているという自覚すらない多くのニッポン人の心に、わたしは波風を立てたい。
一方では当然、ヤマト(日本「本土」)の側に属する人間としての筆者自身の強い自責の念や負い目についても、この連載でくっきり浮かび上がる場面は何度もあろうかと予測される。が、それでも書かずにはおれない現実が沖縄にはある。

2022年5月15日(=沖縄の施政権がアメリカから日本に返還されてちょうど50年の節目の日)、政府の沖縄に対する冷酷な仕打ちを象徴する光景が、宜野湾市で開かれた「沖縄復帰50周年記念式典」(日本政府と沖縄県の共催)会場の沖縄コンベンションセンター前で繰り広げられた。