2022.06.10
# 政治政策

大学院生はなぜハンストしたのか…「沖縄復帰50周年」を祝ってしまう暴力性について

沖縄発・波風通信 (1)
渡瀬 夏彦 プロフィール

沖縄県民に対する残酷な「仕打ち」

だがこれを詳しく解説しようとすると、相当の文字数を費やさねばならない。だからここではあえて、翁長雄志前知事の生涯最後の記者会見(2018年7月27日)での言葉を紹介することで、理解を深めていただく一助となれば、と思う。

「(前略)日本国憲法の上に日米地位協定があって、国会の上に日米合同委員会がある。この2つの中で日本はアメリカに対して何も言えない状況があります」

この翁長氏の言葉は、本当に重い「遺言」のようなものだと思う。だから、今年1月に世に問うた拙著『沖縄が日本を倒す日』の中でも、クローズアップさせてもらった。

渡瀬夏彦の新刊『沖縄が日本を倒す日』(かもがわ出版)渡瀬夏彦の新刊『沖縄が日本を倒す日』(かもがわ出版)

元山氏と旧知の間柄(知り合ったのは2014年)のわたし自身は今回、5月11日に東京信濃町の公明党本部前の小さな公園で座り込みをしている彼を訪ね、ポイントを絞り込んだ短時間のインタビューをさせてもらっている。そしてその日に沖縄に帰ったわたしは、5月15日に沖縄コンベンションセンター前に到着する彼を、現地で待ち構えている格好になった。

さて、そこで繰り広げられた光景は、この国の公権力による沖縄県民に対する「仕打ち」の残酷さが表れていた。

つまりこの連載は、元山氏が投げかけた波紋の意味するところを読者諸賢と共有することから始めたい。

まずは、参考動画として、元山仁士郎氏とわたしの「対談」をここに張り付けさせていただく。これは彼がハンストに入るちょうど1ヵ月前の4月9日に、ジュンク堂書店那覇店主催のトークイベントで収録したものだ

質疑応答含めたっぷり2時間余りのトークなのだが、「元山さんの本音がたくさん聴けて良かった」という感想も多く頂戴している動画なので、時間を見つけて少しずつでも視聴してくだされば幸いである。

(近日公開の(2)につづく)
 

 

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