マンション管理に携わっていると、驚くほど個性的な管理組合に出会うことがあります。無料のマンション相談会にやってきた三浦雛子さん(63歳・仮名、以下同)のケースもその一つ。あろうことか築50年近いマンションであるにもかかわらずこれまで管理組合がなかったため、「どうすれば設立できるのか」という相談にやってきたのです。
【前編】『築50年でエレベーターは壊れたまま…ありえない「機能不全マンション」管理の実態』でも紹介したとおり、三浦さんが住むマンションは「廃墟」と見紛うばかりのゴーストマンションで設備もかなり老朽化しています。修繕のタイムリミットが迫るなか、筆者立ち合いの下でほかの区分所有者との話し合いがスタートしました。

「会議は踊る、されど進まず」
最初は三浦さんをはじめ組合設立に前向きな住人たちが、私が相談会で説明した通り管理規約のつくり方について説明していました。しかし途中から、次第に一部の出席者が勝手に話し始めます。
「理事なんて面倒な仕事、絶対にやらないからな」
「管理費を払わなきゃいけないなら、組合には入らない」
「俺が一番の古株なんだから、意見が尊重されてしかるべきだ!」
などなど、いちいち話を中断して自己中心的な主張を繰り返すばかり。マンションの自主管理どころか、理性的な話し合いすらままならない状態でした。これまで管理組合がなかった理由も、なんとなく察せられる気がします。
まさに「会議は踊る、されど進まず」状態で予定時間を大幅に過ぎて予定が押していたため、「話し合いが進展したら、次回また呼んでください」と言い残して退出しました。