20年ぶりの1ドル=130円超え。なぜ、これほど急激に円安が進行したのか。
背景には日本の「低金利」がある。そして、日本が長らく低金利政策を続けざるをえないでいるのは、30年以上続く「低賃金・低物価・低金利・低成長」の「日本病」から、いまだ抜け出せないせいだ。
『日本病——なぜ給料と物価は安いままなのか』を上梓した永濱利廣氏(第一生命経済研究所 首席エコノミスト)が、今の円安を解説する。
背景には日本の「低金利」がある。そして、日本が長らく低金利政策を続けざるをえないでいるのは、30年以上続く「低賃金・低物価・低金利・低成長」の「日本病」から、いまだ抜け出せないせいだ。
『日本病——なぜ給料と物価は安いままなのか』を上梓した永濱利廣氏(第一生命経済研究所 首席エコノミスト)が、今の円安を解説する。
急激な円安はなぜ起きたのか
今回の急激な円安の理由は、日本とアメリカの金利差にある。アメリカは景気が良すぎてインフレ率が8%にもなったことで、急速な利上げ観測が強まった。そのため日米の金利差が開き、ドル高・円安が加速したのだ。
今の円安は金利差が原因で起こっているため、日本も金利を上げたらよいという意見もある。しかし、ただでさえ不況の日本で金利を上げるのは最悪手だ。コロナで借金が増えている中小企業も多いなか、金利を上げたら日本経済への打撃は計り知れない。
そもそも円安が行き過ぎたからといって、日銀が金融引締めをすることはありえない。日銀法により、日銀は物価の安定を目標とするものと定められており、為替はターゲットにしていないからだ(為替政策は財務省の管轄である)。