SNSの裏アカウント=「裏垢」というと、どうにもドロドロしたものを想像しがちだ。人前では言えないような醜い嫉妬や悪口、有名人への誹謗中傷や糞リプ、抑えきれない性欲と承認欲求、金銭が絡んだ肉体関係の交渉、その他もろもろの悪いことを隠れてエンジョイ&エキサイティングする現代社会の病巣……のようなものが普段マスコミなどで目にする裏垢のイメージなのではないだろうか。つい先日も、就職活動中の学生の裏垢を企業が調査し、採用の判断材料にしているというニュースが議論を巻き起こした。

だが、実際のところはそんな黒い活動に使っている人ばかりではないだろう。人は社会生活のさまざまな場面・シチュエーションに合わせてそれぞれ違った仮面(ペルソナ)を被って行動している。現実の社会生活では被れない種類のペルソナをかぶって行動したいというある種の変身願望で裏垢を使っている人もいるだろうし、あるいはそんなペルソナ自体をかなぐり捨て、ありのままの自分を表現できるサードプレイス的に裏垢を運用している人もいるだろう。

藤峰式さんによるマンガ『不動さんの裏垢活動』の主人公・42歳の地味な中間管理職である不動敬一もその一人だ。彼は普段の生活では隠している自分の姿を、裏垢を使って表現している。それは「女装」だった。そんな彼はひょんなことからカリスマインフルエンサーの男子高校生と出会い……。
気になる本作の見どころを作者インタビューとともに紹介しよう。
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【裏垢】42歳中年リーマン、女装で美脚自撮りしてみた

藤峰式『不動さんの裏垢活動』/講談社

出版社の販売部に勤める不動敬一は「映え」とは無縁の地味な毎日を送っている。部下から軽んじられながらも淡々と仕事をこなし、コンビニ弁当を買って独り身の部屋への帰路につくありふれた42歳中年男性だ。だが彼の中にも行き場のない承認欲求と強い孤独感がくすぶっていて、それを長年放置した結果……。

藤峰式『不動さんの裏垢活動』/講談社

脚だけの女装が密かな趣味となっていた。
中学生の頃にクラスの女子から脚の綺麗さを褒められた経験が忘れられない敬一は、やがて女物のストッキングやハイヒールを身に纏い自室で自撮りをするように。そして1年前からはSNSで裏垢を作り、女性として発信をするようになっていた。

藤峰式『不動さんの裏垢活動』/講談社

脚の自撮り写真への「いいね」でささやかな承認欲求を満たしつつ缶ビールをあおる……それが敬一にとってのかけがえのない大切な時間だった。

【電凸】男子高校生インフルエンサーから突然の誘いが

藤峰式『不動さんの裏垢活動』/講談社

そんな安らぎのときに、突然の暗雲が。なぜか敬一の裏垢が炎上し始めたのだ。調べてみると、超人気の男子高校生インフルエンサー・良が配信で敬一の裏垢に言及したのがきっかけで、彼のファンから嫉妬されてしまったようだ。

藤峰式『不動さんの裏垢活動』/講談社

良にDMを送ってファンへの注意喚起をしてもらったものの、炎上は一向に収まらない。しかたなくアカウントの一時休止を宣言した敬一だが、なんとそれを見た良が「直接会って謝罪したい」とDMしてきて……。

藤峰式『不動さんの裏垢活動』/講談社

良は裏垢を見て「女性」だと思い込んでいる。実際に会ってこんなおじさんだったらさすがにドン引きでは……と思った敬一だが、酔った勢いで思わず「謝ってもらうついでにふわっふわのパンケーキも奢ってもらおう」と決意。素面になってから後悔しつつも待ち合わせ場所に行くのだが……。

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