高校の家庭科の授業で金融教育が始まったり、成人年齢が18歳に引き下げられ、お金の教育の必要性が叫ばれたりと、子どもたち、特にヤングアダルトと呼ばれる年齢層への「お金の教育」が今、注目されています。

でも、お金の勉強が必要なのは、実は大人も同じ。なぜなら、私たちの多くは、お金との付き合い方についてきちんと学ぶ機会のないままに大人になっているから。

そこで今回は、「今さらだけど、お金についてちゃんと学びたい」「でも何から始めたらいいの?」という人のために、お金の勉強の始め方をお伝えします。

◆女性のためのお金の総合クリニック「エフピーウーマン」を設立後、これまで多くの相談者さんと向き合ってこられたファイナンシャルプランナー・大竹のり子さんに、お金のギモンをわかりやすく解説いただく連載「『お金の教養』を磨くためのエッセンス」。お金にまつわる知恵をぜひ手に入れてください。

 

お金のアドバイスは、「正解」とは限らない

皆さんは、これまでの人生において、お金との付き合い方について、誰にどんなことを教わってきましたか?

「お小遣いは無駄遣いしないように」「ギャンブルに手を出してはダメ」「余ったお年玉はできるだけ貯蓄に回しなさい」。小さい頃、そんなことを両親から教わった、という人は少なくないのではないでしょうか。

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大人になってからはどうでしょうか。保険会社の人に「人生のリスクに保険で備えておくことが重要」、銀行の窓口の人に「普通預金だけでなく定期預金をしたほうがいいですよ」、最近であれば、勤め先で確定拠出年金の仕組みについて研修があったという人もいるかもしれません。中には、資産運用に詳しい友人や同僚から、外貨預金や投資信託の積立、仮想通貨などの資産運用をおすすめされたという人もいるでしょう。

でもこれらはあくまでも、その人の主観(あるいはノルマ)に基づいた「アドバイス」に過ぎません。そのアドバイスが「正しいかどうか」はまた別の問題なのです。

例えば、「余ったお年玉はできるだけ貯蓄に回しなさい」というアドバイス。あなたが何歳で、お年玉をいくらもらったのかというシチュエーションにもよりますが、貯蓄して結局使わずじまいになるよりも、普段はなかなか手が出ないものを買ったほうが新しい世界が開けたかもしれません。単に銀行口座に貯蓄するのではなく、投資にチャレンジしていたら今ごろ大きく増えていたかもしれません。お年玉に限った話で言えば、もったいないからと使わないまま両親に預けたらそれっきり……なんていうのもよくある話かもしれませんね(笑)。