死刑に参加した刑務官が明かす…失敗が許されない執行の瞬間に起きた「ありえない事態」

昨年12月、確定死刑囚3人の刑が執行されたことは記憶に新しい。死刑執行は2019年12月以来とおよそ2年ぶりで、岸田政権の発足後は初めてのことだ。

死刑とは犯した罪を自らの死によって償う刑罰で、刑法11条で死刑は刑事施設内において絞首にて執行すると定められている。だが、今年5月に中央アフリカ共和国で死刑制度を廃止する法案が可決されたように、世界では約7割の国が死刑を廃止か停止している。国際的な潮流に逆行する日本には厳しい目も向けられているからこそ、我々は「国が人の命を奪う」死刑に向き合わなければならない。

日本では死刑判決はどう行われ、死刑囚はどんな生活をして、死刑はどう執行されるのか――。漫画家・一之瀬はちさんが実際に死刑に立ち会った刑務官に取材した実録作品『刑務官が明かす死刑の話』が注目を集めている。追加取材を重ね、このほど続刊となる『刑務官が明かす死刑の秘密』を上梓した一之瀬さんは反響についてこう語る。

「まず前作がここまで多くの反響をいただけたことに大変驚きました。読者の方々からは単純に死刑に対して賛成・反対意見、そしてそれ以外に『どのように死刑が行われているのかが知ることが出来た』といったことから、中には『(執行の)ボタンを押すのは遺族でも良いのでは?』と言った意見など様々なものが寄せられましたが、死刑の是非は一言で表現できるものではないのだと痛感させられました。

犯罪者側の立場、被害者側の立場、そして執行する立場…。それぞれの立場によって考えもまた変わるのだということに気付かされました。簡単に賛成・反対だけでは済ますことのできない難しい大きな問題だと思いますが、読者の皆様に塀の中で起きていることを知って頂き、死刑について考えるきっかけの1つになれれば幸いです」

「刑務官が明かす死刑の秘密」(一之瀬はち)が6月17日より発売
 

執行ボタンを押す瞬間

一之瀬さんが取材したのは、実際に死刑に立ち会った経験のあるM刑務官。大学卒業後、刑務官試験に合格。地方刑務所、拘置支所勤務を経て、現在は某拘置所に勤務している。

日本での死刑は絞首刑つまり縊首(いしゅ)と刑法11条で定められている。これは、首に縄をかけて床が抜けることで首が締まり死に至るという方法で、その床を抜くボタンを押すのが刑務官だ。

『刑務官が明かす死刑の秘密』より

「3~5個並んだボタンのうち1つのみが床を作動させ、どのボタンが作動ボタンかは分からないようになっています。また、落下の直後は死刑囚の体が動いて傷がつく可能性などがあるため、上で縄がぶれないように押さえるのも刑務官の仕事です」(M刑務官)

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