2022.07.03

「カンブリア爆発」は"爆発"じゃない!? じわじわ進んだ生物多様化と生存競争

更新し続ける過去の学問・カンブリア編

みなさんは、「化石」と聞くと、何を思い浮かべるでしょうか? 恐竜? アンモナイト? 少し詳しい方なら、足跡や巣穴などのかつて生きていた生物の痕跡の化石もあることをご存知かもしれません。

こうした、化石によって"存在が証明される生物"を「古生物」と呼び、古生物の姿や生き様、生存当時の環境、そしてその進化と絶滅について研究する学問が「古生物学」です。化石を手がかりに、科学技術を駆使して、古生物のさまざまな謎に迫るのは、良質なミステリーとも言えますが、中でもその進化と滅亡、あるいは現在へに至る道程、「生命の歴史」は、とりわけ壮大なテーマの1つです。

今回から、数回にわたり、好評の『カラー図説 生命の大進化40億年史 古生代編』から古生物をめぐる歴史について、とくにここ十数年で得られた新たな知見に注目して、見ていきたいと思います。まず、1回めは、生物の種類が徐々に増えてくる「エディカラ紀」から「カンブリア紀」の古生物たちを見てみたいと思います。

古生物学は日進月歩

地球上に生命が誕生して、約40億年間。その長い歩みのなかで、多くの生物が栄え、絶滅してきた。地球上に存在してきたほとんどの生物は、いまや「化石」によってしか、その存在を知ることができない。三葉虫、恐竜など、"化石によってその存在が証明される生物"を「古生物」と呼ぶ。そして、古生物の姿や生態、生きていたときの環境、その進化と絶滅などに迫る学問が古生物学である。

【図】年代区分顕生累代は、大きく「古生代」「中生代」「新生代」に分けられる。「古生代」は、「カンブリア紀」をはじめに、さらに6つの「紀」に分けられる。今回の記事では、カンブリア紀に先立つエディカラ紀からはじめたい(『カラー図説 生命の大進化40億年史 古生代編』の年代表から一部改編)

過去に起きたことは変わらない。これが、我々の日常での常識である。それは、古生物の世界でも、もちろん同じだ。6600万年前に絶滅したティラノサウルスが、いきなり街を闊歩したりすることはない。

しかし、「過去についてわかっていること」が変わることはある。新しい化石の発見や分析方法によって、同じ化石から新たな発見があったりして、古生物やその環境についての知識が更新されることは、決して珍しくはない。

古生物学は、絶滅した生物、いわば過去についての学問なのだが、その知識の更新は、じつは日進月歩なのだ。ここでは、とくに変化の著しいいくつかの事象について、ご紹介していきたい。

関連記事