2022.06.22
# 気象 # 環境

あらためて考えてみたい「地球温暖化」はなぜ起こる?

CO₂濃度が上がると温暖化する理由

前の記事で紹介したように、地球の温度は「太陽から受ける放射」と「地球が外に射出する放射」のつり合いによって決まります。このとき、もし地球に大気がなければ、地表の温度は-18.7℃になります。しかし、実際にそうなっていない理由は、地球に大気があるからでした。

これを「大気の温室効果」とよび、このメカニズムに最初に言及した科学者は、あのフーリエでした! 地球に「大気」が存在することで地球の温暖な気温は維持されているのです。

しかし、いま問題となっている「地球温暖化」、その主たる原因もこの大気です。では、温室効果ガスと呼ばれる大気成分の濃度上昇によって「地球温暖化」がどうして起こるのか? その仕組みをこの記事では見ていきたいと思います。

そもそも温室効果ガスってなに?

図1は、Peixoto and Oort(1992)の図に手を加えたもので、大気が太陽放射や地球放射をどれほど吸収するのかを説明している。

【グラフ】黒体放射と、大気全体、及び大気の構成成分による吸収率のスペクトル 図1 黒体放射と、大気全体、及び大気の構成成分による吸収率のスペクトル。Aは6000K 、255Kでの黒体放射の規格化後スペクトル。 Bは鉛直方向全層における大気の吸収率スペクトル。Cは高度11kmから上の大気の吸収率スペクトル。Dは大気上端と地表面の間におけるさまざまな大気成分気体の吸収率スペクトル。CH₄はメタン。CO₂は二酸化炭素。H₂Oは水蒸気。HDOは重水。N₂Oは一酸化二窒素。O₂は酸素。O₃はオゾン。Bλは波長λでの黒体放射(Peixoto and Oort(1992)をもとに作図。(『地球温暖化はなぜ起こるのか』より。拡大表示はこちら)

図1Aは、255K及び6000Kでの黒体放射のスペクトルを正規化したもので、255Kは大気上端から出ていく地球放射のスペクトル、6000Kは入ってくる太陽放射のスペクトルとかなり類似している。

この図からわかるように、地球からの放射の波長は、ほとんどが4μmより長いのに対し、太陽からの放射の波長はおおむね4μmより短い。そのため、大気中での地球放射の伝達は太陽放射の伝達と区別して扱ったほうが合理的だ。以後、地球放射を「長波放射」とも呼び、比較的波長の短い太陽放射と区別する。

大気のうち、何が「温室効果ガス」になるのか?

図1のBとCは、雲のない大気における、電磁波の波長ごとの放射吸収率(%)を示す。雲のない大気では、太陽光スペクトルのうち波長が0.3μmから0.7μmの可視光はほぼ透過できるので、入ってくる太陽放射の大部分が地表面に到達する。しかし、大気中の水蒸気により、長波放射の光の大部分はかなり強力に吸収される。

水蒸気に対して比較的透明な7μmから20μmの波長帯は「大気の窓」などと呼ばれるが、その窓の波長帯では、図1のDに示すように、二酸化炭素は15μm 、オゾンは9.6μm 、メタンは7.7μm 、一酸化二窒素は7.8μm付近の波長の放射光を強く吸収する。

また、この図には示していないが、7μmから13μmの範囲では、クロロフルオロカーボン(CFC 、いわゆるフロン)による吸収率が高いことも指摘されている(たとえば、Ramanathan,1975)。

こうした温室効果ガスは、下の一覧に示したように、大気の微量成分ではあるが、合計すると、地球放射(長波放射)のスペクトル範囲のかなりの部分を吸収し射出して、以下に述べるような強力な温室効果をもたらしている。

大気の組成

構成成分/重量%(近似値)

  • 窒素(N₂)  75.3
  • 酸素(O₂)  23.1
  • アルゴン(Ar)  1.3
  • 水蒸気(H₂O)*  約0.25
  • 二酸化炭素(CO₂)*  0.046
  • 一酸化炭素(CO)  約1×10⁻⁵
  • ネオン(Ne)  1.25×10⁻³
  • ヘリウム(He)  7.2×10⁻⁵
  • メタン(CH₄)   7.3×10⁻⁵
  • クリプトン(Kr)  3.3×10⁻⁴
  • 一酸化二窒素(N₂O)*  7.6×10⁻⁵
  • 水素(H₂)   3.51×10⁻⁶
  • オゾン(O₃)   約3×10⁻⁶

* 温室効果ガス

『地球温暖化はなぜ起こるのか』より)

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