「要介護5」の重さ

最後に残った、「認定されていないもの」が要介護5でした。Mケアマネージャーさんとも「ほとんど身体的には要介護5ですが、コミュニケーションが出来ているうちは要介護4でとどまれると思います」というお話を受け「それが一番大事な部分なので頑張ります」と「声」をだすトレーニングを頑張ってきました。しかしながら、とうとう要介護5の認定を受けました。

左はD訪問看護リハビリステーション・Sケアの皆さん 写真提供/津久井教生
 

「いったい何で?」と思いましたが、要介護5には「著しい呼吸機能の低下」という項目があるのです。コミュニケーションが取れていても、いつ呼吸困難になるか分からない身体状況だと常時見守りが必要で、要介護5に相当するということです。喀痰が自分で出来ずに痰吸引器などで介助してもらうようになっていますし、見守ってもらわないと窒息につながります。喋れることとは関係ない進行です。

これで要介護5になったことは腑に落ちました。でも時間をかけて母が要支援2から要介護5になって天に召されたのを見てきた私としては、要介護5という重さは自分が思っている以上に脳みその中に打ち込まれていたのだと思います。母の介護時に知ったのですが、施設に入所した場合、要介護度が上がると利用料金が上がっていきます。理由は、それだけ介護することが大変になってくるからです。

しかし少し落ち着いてきた今になって思い返してみると、天に召される前の85歳の母はしっかりとした要介護5だったと思えるのです。お見舞いに行くたびにこちらの言う事を理解してくれて、場合によっては私の事を心配して叱咤激励までしてくれていました。人間がゆるゆると年を取っていくっていう事を目の当たりにさせてもらったという感じです。

ある意味、ALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病は「とんでもない速さで全身の老化が進んでいくような病気」なのかもしれません。今現在私は身体的にはドンピシャの要介護5の状況です。でも一つだけ皆さんが思っている要介護5と違うところは「声」が出るという事です。そして寝たきりではなく、なるべく座位で過ごして日常生活を楽しんでいます。

息子の悠生さんと 写真提供/津久井教生

【次回は7月2日(土)公開予定です】

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