2022.06.18
# 企業・経営

いま「転勤を強制しない」大企業が増加中…そのウラに隠れている「意外な落とし穴」

これまで正社員として働く場合、転勤や異動は会社都合で決められるもので、単身赴任や家族の転居も致し方ないと思われてきた。しかし近年、結婚・出産後も働く女性、介護や病気治療をしながら働く高齢者が増えたことや、若者のキャリア意識の変化もあいまって、会社都合で転勤や異動を強制すること控え、個人の事情に配慮し、希望を尊重する大企業が増えつつある。

働きやすい会社が増えることは好ましいと歓迎する人も多いだろう。しかし、この変化をもろ手を挙げ歓迎するだけでよいのだろうか。長年企業のダイバーシティマネジメント推進を支援してきた(株)FeelWorks代表の前川孝雄氏は、個人が長く活躍し続けるために落とし穴があると注意を促す。その理由とは何か。

〔PHOTO〕iStock
 

会社都合の異動・転勤をやめる大企業が増加

AIG損害保険株式会社では、社員が望まない転勤をなくすために、2019年春から2年半の移行期間を設け、2021年秋には希望しない社命転勤を廃止している。

従来は全国の支店網で、定期的に全国転勤を含む人事異動を行ってきた。これをあらため、全国の拠点を11のエリアに分け、転勤OKな「モバイル」か、希望エリアで働く「ノンモバイル」かを社員自身が選ぶ仕組みを導入。

社員が希望のエリアなどを選択し、ノンモバイル社員を希望に沿って配属。次いで、調整がつかなかった地域にモバイル社員を配属するという。こうしてノンモバイル社員全員を希望地域に配属したのである。

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