れいわ新選組の山本太郎を「総理」にするために必要なこと 大石あきこ×鮫島浩

『維新ぎらい』『朝日新聞政治部』W刊行記念(3)

維新ぎらい』『朝日新聞政治部』W刊行記念で行われた話題の対談もいよいよ最終回。最後のテーマはやはり、「れいわ新選組代表の山本太郎をいかにして総理大臣にするか」だ。
長年の永田町取材を通して得た政治記者としての知見を伝えようとする鮫島浩氏に対し、最前線で戦っている大石あきこ氏が持論を展開して応戦。馴れ合いも予定調和も一切ナシのガチンコ対談をお楽しみください。(この対談の動画を「鮫島タイムス」で特別公開中)

反感はあるけど菅直人を参考にしてみる

鮫島 私は今、新聞の面白くない政治報道を「倒してやろう」と思って、鮫島タイムスをやっています。一から政治報道を見直して、作り直すつもりです。大石さんも『維新ぎらい』で何度も「倒す」という言葉を使って、維新をはじめ今の茶番に満ちた政党政治を倒そうとしています。

大石 その通りです。

左:大石あきこ氏、右:鮫島浩氏 撮影/濱崎慎治

鮫島 政治はやはり、どのように支持基盤を固め、最終的にはいかに政権を取るかを考えなければなりません。

大石 はい、れいわ新選組もまだ小さな政党ですが、力をつけていきたいと思います。

鮫島 そこで菅直人が民主党を作るまで、という物語が参考になるんです。

大石 なんかイメージと違う人持ってきましたね(笑)。お聞きしましょう。

鮫島 私は最初に番記者をやったのが菅直人さんでした。政治家として賛否はありますが、菅直人のやり方は良くも悪くも勉強になる。面白みのない組織人と違い、その政治手法は保守系政治家からも一目置かれていました。あの亀井静香さんも、菅直人を高く評価してこう言っていました。「前原誠司とか枝野幸男とか政策新人類と持てはやされているが、菅直人が登場したときの魅力とは比べ物にならんよ」と。

菅直人氏 Photo by GettyImages

大石 へえ、どんなことをやったのですか。

鮫島 彼は学生時代、全共闘で闘争に明け暮れていました。警察と激しい取っ組み合いをやるようなデモにも参加していたのですが、実は彼は「4列目の男」と呼ばれていたのです。

大石 4列目?

鮫島 そう。最前列で警察に逮捕されるのではなくて、4列目でなんとか逃げられるポジションを取っていたわけです。だから彼は全共闘時代の仲間から評判が悪い。でも彼のそういうリアリストな部分が、その後の政治手腕に表れていきます。

大石 すでに反感を感じてきました(笑)。

鮫島 まあ聞いてください。彼の手腕の本領は、少数政党からスタートして、民主党を作り上げたこと、野党勢力を統一して自民党への挑戦権を獲得したことにあるのです。もちろん民主党政権は失敗だったわけですが、少なくとも政権を取るところまでは参考にするべきだと思うのです。

大石 それはそうかもしれませんね。ガマンして聞きましょう。

鮫島 菅さんは市川房江さんの擁立運動をやるなど市民活動家として知名度を上げて、3回の落選を経て1980年に当選します。社会民主連合という議員が3人程度の弱小政党から政治家人生をスタートさせた。れいわ新選組と似ていますね。

大石 たしかに数は似ています。

鮫島 そこで彼はいきなり自民党を攻撃するのではなく、社会党を攻撃した。「本気で政権を取る気があるのか」「ないだろう」と。つまり菅直人はまず野党第一党となることを目指したわけです。自民党に対抗する野党第一党になるための戦いを、菅直人は30年近くやり続けた。

大石 ちょっと待った! それって、菅さんは社会党を右の側から倒そうとしたんじゃないですか?私としては、逆側から倒したいんですが…。例えば、ロシアがウクライナに侵攻したけども、横並びに形式的にロシアを非難する決議にれいわは反対しました。賛成しないと炎上することも分かっていましたが、日本が戦争当事国になりかねないロシアへの非難決議には、誰かが警鐘を鳴らさねばならないと思いました。れいわは少数政党だからこその役割を果たしています。愚直に正直に大政党に突っ込んでいくのがれいわなのかなと。私はやっぱり4列目じゃなくて、1列目の部類なのかもしれない。

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