OECDの統計によると、男女間の賃金格差は欧米諸国が10%台なのに対して、韓国が34.6%、日本が24.5%と高い()。これには、日本には配偶者控除などの制度などの問題も絡んでいると指摘されている。女性が自立しにくい社会システムになっているのだ。

キャリア10年以上、3000件以上の調査実績がある私立探偵・山村佳子さんは「配偶者控除の範囲内で働いている人が、別途現金収入が欲しくなった時に、パパ活のような“現金で報酬を得るアルバイトをすることがあります」と語る。
彼女は離婚調査に定評がある「リッツ横浜探偵社」の代表だ。この連載は、調査だけでなく、調査後の依頼者のケアまで行う山村氏が見た、現代家族の肖像でもある。
今回山村さんのところに、つき合っている女性の身辺を調査するように依頼してきた男性の悩みの背景にも、そういう背景があるようだ。

コロナショックが促すジェンダー平等』(日本総研 2021年)
山村佳子
私立探偵、夫婦カウンセラー、探偵。JADP認定 メンタル心理アドバイザー JADP認定 夫婦カウンセラー。神奈川県横浜市で生まれ育つ。フェリス女学院大学在学中から、探偵の仕事を開始。卒業後は化粧品メーカーなどに勤務。2013年に5年間の修行を経て、リッツ横浜探偵社を設立。豊富な調査とカウンセリングを持女性探偵として注目を集める。テレビやWEB連載など様々なメディアで活躍している。
リッツ横浜探偵社:https://ritztantei.com/
山村佳子さん連載「探偵が見た家族の肖像」これまでの記事はこちら
 

「かわいそう」な高校のマドンナの実態が知りたい

今回の依頼者は、男性です。幸樹さん(40歳・IT関連会社役員)は、前の妻と離婚して2年になるそうです。白Tシャツに、ブランドロゴが光るジャージを穿き、セレブな雰囲気をまとっています。

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目が大きく二重まぶたはくっきりしていて美しい。凛々しい雰囲気の男性でした。「この人はモテるだろうな」と思っていたらそうでもないようです。「前の離婚は、仕事が忙しすぎて妻に浮気されました。僕は、女性からグイグイ来られても、いつも去られてしまうんです」と語っていました。

生まれながらにモテる男性は、女性からちやほやされても、継続的な人間関係の構築が苦手な場合が多々あります。
今回、依頼を受けたのは、高校時代から好きで憧れていたマドンナの調査です。
「昨年末に、高校の同窓会が地元九州で開かれました。僕は地元が嫌でたまらなくて、新聞奨学生をしながら東京の大学を卒業したんです。そして、大学在学中にあるゲームを開発して大当たりしたんです。そのお金でアメリカの大学でITを学べたんです。僕が出た県立高校は、地元でも中堅レベルでした。地元の大学に進学して、公務員になるのがベストな人生コースなんですよね。僕は学校創立以来の成功者だと思います」

自信満々に自らを語る幸樹さん。苦労を隠さないところが、女性に敬遠されるのかもしれないな……と思ってしまいました。
「同窓会には、ペラッペラの服を着た男しかいなくて、ハイブランドのTシャツとバッグを持っている僕は女性陣に囲まれましたよ。そのときに“久しぶり”と声をかけてきてくれたのが、高校一番の美少女と言われる桜子ちゃんだったんです」

桜子さんは40歳になっても、高校時代と変わらない清楚な容姿を維持していたそうです。ほっそりとした手首と黒髪が美しく、男性陣は釘付けだったとか。

「そのとき、いい感じになって桜子ちゃんをホテルにお持ち帰りしたんです。僕は県内でも一番高い部屋に泊まっており“こんなところに泊まれるんだ”と感激していました。その日はホントにお互いに燃えたと思います。僕も桜子ちゃんもしばらく誰とも関係を持っていなかった。からっからに乾いた紙に、火をつけたように、ホントに燃え上がった。もっと早く再会したかったとお互いに泣いたことを覚えています」

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