2022.06.26
# 戦争 # 北朝鮮

なぜ秀吉は朝鮮出兵に失敗したのか…最新技術でわかった驚きの新説

日本史の謎を科学的に解明

歴史では「定説」とされていても、謎に包まれている出来事はいくつもある。だが、最新の科学を用いることで、真実に近づくことが可能となる。日本史とサイエンスの融合は、ここまで進んでいた。

朝鮮水軍に大苦戦

「日本史には多くの謎が残されています。中でも、豊臣秀吉が、あえなく朝鮮出兵に失敗したことは、多くの方が疑問に感じていると思います」

こう語るのは、5月20日に『日本史サイエンス〈弐〉』(講談社ブルーバックス)を上梓した播田安弘氏だ。播田氏は長く三井造船(現・三井E&S)で船舶の設計技師を務めていた。その時に得た知見を活かし、現在は日本史の謎を、独自の理論と数式で解き明かすことをライフワークとしている。

朝鮮出兵はなぜ失敗したか。関白秀吉の命に従い、肥前名護屋城(佐賀県唐津市)に集結した日本軍は、1592(天正20)年3月、朝鮮に向けて渡航を開始する。

「日本の一番隊が上陸した5月以降、朝鮮半島の沿海部で日本軍を苦しめたのが、朝鮮水軍が保有していたとされる『亀甲船』です。亀甲船とは、亀の甲羅のような形状をした平底船で船体に刀をびっしり刺し、計13門もの大砲を有していたと文献に記録されています。朝鮮水軍を率いた李舜臣は、亀甲船を巧みに使い、日本軍を追い詰めました。

亀甲船が実在していたかはまだ確証が持てません。しかし、私はこの記述をもとに独自の数式を使い、亀甲船と日本軍が渡航に使用した関船の戦力差を数字で表しました」

 
写真はイメージです/photo by gettyimages

播田氏の計算によると船の「戦闘力」は、大砲の威力を表す「砲力」と、船の排水量と櫓の推力による速度から導き出される「運動エネルギー」の合計と仮定できる。

「砲力は片舷の砲数×口径の3乗で求められます。亀甲船は片方に口径10cmの大砲を7門有していたため、7× 103=7000です。

運動エネルギーは艦の排水量×速度の2乗であり、私の計算では6480となります。この合計の1万3480が亀甲船の戦闘力と仮定します」

一方、日本軍の関船は20~25m長で、大砲を1門だけ積んだ櫓漕ぎ和船だった。関船の砲力は、大砲は口径10cmのものが1門なので1× 103=1000。運動エネルギーは6160。合計の戦闘力は7160にとどまる。つまり、亀甲船の半分程度の戦闘力しかないのだ。この数字からも、日本軍は朝鮮水軍に太刀打ちできなかったと推測される。

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