米国はウクライナで台湾・朝鮮半島危機の予行演習を行っている

これが日本の脅威・中北露抑止の戦略か
阿久津 博康 プロフィール

遠方軍事支援に導火線・東アジアで適用される戦略

いずれにせよ、今回のウクライナ戦では、米国は、ロシアが侵攻を開始した2月24日以前から表明していたように全面的な軍事介入はしていないものの、警告的インテリジェンス(敵の意図や行動について秘密情報を含む重要な情報を先行的に開示・広報することで、敵を牽制するとともに、味方や身内に生じるサプライズ効果を軽減・緩和するための措置)を駆使しながら、ウクライナへ有効な情報および「武器」を提供している。武器供与については、国内での法的手続きも機動的に進めている。

米国は、ウクライナがNATO加盟国ではない、つまり正式な同盟国ではないのでこうした対応をせざるを得ないという立場をとっているが、このウクライナへの支援の在り方は、米国の大戦略論の1つである「オフショア均衡策」の戦術レベルでの実践と見ることができる。

いずれも米国が支援対象国に直接介入して自ら当事国になるのではなく、前線の当事国に対し遠方から有効な軍事支援を選択的に繰り出すことにより、地政学的均衡を維持・管理するというアプローチである。

 

このアプローチは、これまであくまでも理論上の戦略とされていたが、今回のウクライナ戦を見ると、それは将来、東アジアに適用される戦略の「予行練習」ではないかとさえ思えてくる。

特に、次に述べる台湾については、このオフショア均衡策とともに、これまで朝鮮半島に配備されてきた米軍の存在というトリップワイヤー(導火線)戦術も併せて適用されるかもしれない。

関連記事