2022.06.30
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ゆっくり茶番劇、ギコ猫騒動…なぜ商標炎上は20年も変わらないのか?

アマビエ、ぴえんは商標登録できる?

「ゆっくり茶番劇」騒動

2022年5月中旬に発生した「ゆっくり茶番劇」商標登録騒動は、約1週間後に商標権を取得した権利者側による権利放棄の表明という形で一応の決着を見た。

ゆっくり茶番劇」とは、女の子の顔のみのイラストが棒読み調の合成音声でしゃべる「ゆっくり動画」のカテゴリーのひとつとしてネット界隈で認知されてきたものである。権利者側が有償ライセンスを行うことを表明したことで炎上が発生し、テレビや新聞などでも取り上げられる騒動となった。

しかし、ネットの配信動画と縁のない人にとっては、ピンと来ないニュースかもしれない。「ゆっくり〇〇」に関しては、明治が「ゆっくり気分」を、東海国立大学機構が「ゆっくり自動運転」を、ヤフーが「ゆっくり払い」をそれぞれ商標登録しているが、ネット上では何ら問題とはなっていない。「ゆっくり動画」を想起させるものではないからであろう。

 
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商標とは他人のものと区別するための「目印」

今回の騒動で改めて感じたことは、商標権の効力が多くの人たち(今回の権利者も含む)に正しく理解されていないという点である。そもそも、商標とは、商品・サービスに付ける「他人の商品・サービスと区別するための目印」のことだ。

そして、商標の出願後に特許庁における審査を経て登録に至ると、商標はあらかじめ指定された商品・サービスとセットで登録される。それにより商標権が発生するわけだが、これは指定された商品・サービスについて登録商標を使用できる権利にすぎず、言葉や図形そのものを独占できる権利ではない。

つまり、登録商標を何らかの形で使用したからといって、直ちに商標権侵害となるわけではない。何の根拠も正当な理由も持たない第三者が他人の登録商標と同一または類似の商標を、指定された商品・サービスと同一または類似の商品・サービスについて使用することが侵害行為に該当するため、商品・サービスが類似していなければ、商標権の効力は及ばない。

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