「お前がNHKに出たから逮捕されたんや」有名人になった代償に、すべてを失った男の告白…伝説のアウトロー「テポドン」の人生(2)【短期集中連載】

「テポドン」の人生(2)

NHKスペシャル「半グレ 反社会勢力の実像」(2019年7月27日放送)は大いに話題を呼んだ。Nスペ放送から3年。ここに出演した吉満勇介氏の人生は大きく変わった。「勇介」名義で出版した告白本『テポドン 大阪ミナミの「夜」の歴史を変えた暴れん坊』(講談社)が話題だ。短期集中連載の第2回は、出演後の「逮捕劇」のリアルな真相が明かされる。

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「上が怒っとるからしょうがないんや」

スタッフによって、ホルモン屋の売上金100万円を盗まれた。怒り心頭に発したオーナーが「カネを返せ」と強く迫るのは当然だ。勇介氏は加害者どころか大金を盗まれた被害者なのに、ガサ入れにやってきた警察は「白」を「黒」と言い含めて勇介氏を追い立てる。

〈店の大事な売上金を盗んだのはスタッフのほうです。その後は「返しにいきます」の一点張りで、結局、金は戻って来ず。それなのに警察はこの僕の発言を恐喝未遂だと言って、自宅まで踏み込んできました。

僕としては、奪った金を返してほしいと言ったのみ。恐喝なんて意識はこれっぽっちもありませんから、当初から否認を続けました。逮捕当時は不起訴になるだろうとタカをくくっていたので、なおさら慌てることはありませんでした。取り調べでは身の潔白を証明するために細かく経緯を説明しました。

「何で俺が逮捕されなあかんの?」
「お前らがNHKに出たからやろ」

そう刑事から言われたときは、体から力が抜けるような感覚でした。取り調べをしていた刑事も「俺もこの事件はおかしいと思うけど、上が怒っとるからしょうがないねん」と答えるのみ。そう言われてもこちらは何が何だかわかりません。〉
『テポドン』203〜204ページ)

勇介氏勇介氏
 

被害者を加害者としてデッチ上げる強引な捜査には、最初から無理があった。恐喝未遂容疑でガサ入れまで仕掛けたものの、この件は不起訴で終わる。だが、警察による「半グレ攻撃」はこれでは終わらなかった。そもそも、勇介氏は自分自身を「半グレ」とは認識していないにもかかわらず……。

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