2022.06.29
# 企業・経営

パナソニックがひそかに「業界を揺るがす新制度」を導入していた…その「意外な背景」

パナソニックが、在庫リスクを負担する代わりに価格決定権を持ち、店頭での値引きができない制度の導入を進めている。かつてメーカーの力は絶大で、戦後経済は小売店がメーカーから価格決定権を奪うという流れで消費経済が発展してきた。だが、ここに来て、その流れが逆転する可能性が見えてきた。

メーカーと小売店、「価格主導権」をめぐる争い

卸や小売店など流通部門における製品の販売価格をメーカー側が拘束することは独占禁止法違反となる。メーカーは、自社の製品について、何円で売って欲しいという希望を表明することはできるが(希望小売価格)、これを小売店などに要請することはできない。製品のカタログに「オープン価格」などと表示してあるケースをよく見かけるが、これはメーカー側がいくらで売って欲しいのかについて具体的な数字を示していないことを意味している。

〔PHOTO〕iStock
 

製品の価格を決めるのはメーカーではなく、あくまで小売店や消費者であり、売れない製品は安く、売れる製品は高いという感覚は今では当たり前のものかもしれない。だが、こうした商習慣は最近になって確立したものであり、昭和の時代はそうではなかった。

当時も独占禁止法という法律は存在しており、メーカーが小売価格を拘束することはできなかったが、実質的にメーカーが拘束力を持ち、小売店側が自由に販売価格を決めることはできなかった。仮に安値販売する小売店があった場合には、メーカー側が嫌がらせで商品を卸さないといったこともあったといわれる。

戦後間もなくのモノが不足している時代は、こうしたメーカー主導の価格形成もうまく機能したが、社会が豊かになるにつれて、定価販売に対する不満が高まってきた。メーカー主導の価格決定に強く反発し、消費者目線の価格で製品を提供する方針を掲げて急成長したのがスーパーや量販店などの業態である。

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