男女候補者均等法にも入ったハラスメント対策
猪瀬氏の行為に対して、日本維新の会の松井一郎代表は、「そういう風(セクハラ)に受け取られるような可能性があるならやめるべき」「見ている側の人が気分を害するようなことは慎むべき」とコメントしたが、そもそも今回は、動画が党のホームページに掲載されていたことで発覚した。ということは、党内部のスタッフもあの行為を問題だと感じていなかったということで、そこがこの問題の根深さでもある。
今回の参院選では、国政選挙として初めて女性候補者がやっと3割を超えた。ジェンダーギャップ120位というジェンダー後進国日本で、特に男女格差が激しいのが政治分野(156カ国147位)だ。政治分野での男女格差解消を目指す候補者男女均等法が施行されたが、候補者や議席の一定数を女性に割り振るクオータ制導入も進まず、なかなか女性議員は増えていない。
その大きな一因として、支持者や議員から受けるセクハラも指摘されてきた。内閣府男女共同参画局が地方議員約1万人にアンケートした結果、議員活動や選挙活動中に、有権者や支援者、議員などからハラスメントを受けたことがあると回答した女性は約6割にも上る。さらにこのアンケートでは、議員活動上の課題として「性別による差別やセクハラ」を挙げた女性が3割を超えるなど、立候補から議員活動の継続にハラスメントや差別が影響していることがわかる。

こういう背景もあり、2021年6月には候補者均等法に政党などにセクハラ・マタハラ防止策を求めることが明記されたのだ。だがこうした実態や法律の内容を政党や議員、候補者は一体どこまで理解して、改善しようとしているのか。いくら公約でジェンダーギャップ解消をうたっていても、議員などのセクハラ言動が相次いだら、「どこまで本気なのか」と疑わざるを得なくなる。