2022.07.01
# 格差・貧困

セックスワーカーを守る活動家「要友紀子」が考える「驚くほど自由」な社会像

政治にも社会にも期待できない日々

彼女を思い出すきっかけは突然 Twitter で流れてきた。「参院選に、立憲民主党公認候補として出馬します」

要友紀子さんは、出会ったとき既に、性風俗店で働く人のためにSWASHという団体で活動していた。

精神の不調で会社を解雇されたその頃のわたしは、「夜の蝶」になりたてだった。夜職のお作法もお決まりの出来事もわからない。けど、じぶんを削ってしまうような振る舞いなら、いっそわからないままでいい。「昼」に居場所はないけど「夜」にも馴染めなかったわたしが、性風俗と権利運動が合わさった団体と繋がろうと考えたのは自然だったかもしれない。

要さんは、初対面からとてもフレンドリーだった。「大学でセクシュアルマイノリティや女性にまつわる課題を専攻していたから、どのように働いていけばよいか迷っている」と話すと、たくさんの知り合いを紹介してくれた。

日常に追われている内に疎遠になってしまったけれど、面倒見がよくて裏表のない人という印象がずっと残っていた。音声交流型SNS Clubhouse で議員と交流していたのは記憶に新しい。でもまさか、本人が出馬するなんていったいどういう経緯なのか。

正直言って、選挙はいつも、がっかりさせられてきた。投票率の低いわたしたちの世代は冷遇されるし、自己責任ばかりが強調される政党がいつもなぜか支持される。困ったときもじぶんで全部なんとかしなくちゃいけなくて、生き方の選択肢を増やす機会が奪われていくようで、気づいたら政治ニュースを見るのさえ嫌になっていた。

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精神を病んでいて、会社員として働けず、職業分類表にも見当たらない身分のわたしは、きっと社会の中では居ないことになっている。それに危機感はあったけど、ニュースなんかに傷つくのは嫌だったから、見なくなった。

そもそも、じぶんが政治に何を期待すればいいかもわからなかった。いつも買っている弁当が値上げしたとか、通っていた飲食店がコロナ禍でつぶれたとかの小さいことから始まって、「変わった」実感はマイナスばかり。「毎日をより良くするのはじぶんだ」という前向きな防衛本能が、自己責任論を強化していることはわかっていた。

わたしも、きっと政治家をサボらせることに貢献してる。でも、狭くなっていく社会で息をする隙間を見つけることで精一杯。「どうしろって言うのさ」という気持ちに、要さんならなんと答えを出すんだろう。

活動家一家の環境で育った

「連絡嬉しかったで。暑かったやろ、遠かったんちゃうん?」

柔らかで独特な関西弁と、気さくな笑顔。要さんは記憶のままの雰囲気で迎えてくれた。権利運動には困難が多いから、数年ぶりに会ってみたら険しい顔になっていた人も居る。それに5月末に急遽出馬が決まったというから、忙しさにもっと疲弊しているかと思っていたのに元気そうだ。そういうところがずっと不思議だった。

真摯だけれど、追い詰められていないというか。わたし自身、大学時代まではセクシュアルマイノリティに関する活動の場に身を置いていたけれど、先頭に立つことはいつだってしんどさが伴った。わたしより遥かに長く活動しているこの人は、なぜ変わらずにいられるのだろう。

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