2022年6月28日、リバプールFCからフランス1部リーグであるリーグ・アンのASモナコFCへの移籍を発表した南野拓実選手。初の著書『南野拓実 Inspire Impossible Stories』は、リバプールFCとして南野選手の最後の姿が収められた一冊となった。

セレッソ大阪で史上初の高卒ルーキースタメンを果たし、それからずっと日本のサッカー界を牽引してきた南野選手の率直な声が綴られている。さらにはリバプールの仲間との写真、ホームグラウンドやクラブハウスでのリラックスした表情、そして写真が趣味だという南野選手が自ら切り取った風景などが盛りだくさん。南野選手がリバプールで充実した生活を送ってきたことが伝わる一冊だ。

ジャーナリストの島沢優子さんによるインタビュー「南野拓実が影響を受けた大人たち・父が教えてくれた坂本龍馬の言葉」と合わせ、本書より抜粋の上、初めて故郷・大阪を離れたときのことやリバプールに移籍した時の想いを語った個所を特別に抜粋掲載する。

まっすぐにインタビューに答えた南野選手 撮影/長濱耕樹
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故郷・大阪を離れた飛行機の中で

「こんな気持ちになるんやなぁ」
飛行機の窓の下に見える日本列島が少しずつ小さくなっていく様子を眺めながら、南野拓実はセンチメンタルになっている自分に気がついた。

2015年1月。オーストリアのモーツァルト生誕の地に本拠地を置くレッドブル・ザルツブルクへ移籍するために乗った飛行機が、離陸して間もないときのことだ。
感傷的な気分になった理由はいくつかあった。その一つは、中学1年生のときからサッカーを続けてきたセレッソ大阪を離れ、19歳にして故郷を後にすることになったからだ。

それまでも年代別の日本代表には選ばれていた。高校1年生のとき、セレッソ大阪U-18 の一員としてフランスに遠征した際には、フランスリーグで戦う名門AS モナコのプロチームのテストを兼ねて2週間にわたって現地で練習に参加した。同世代の若者に比べれば、はるかに海外になれていた。

2013年、高卒ルーキーとしてセレッソ大阪史上初のスタメン出場に Photo by Getty Images

成人式にどんな格好で出席するのか。式の前にどの美容院へ行くべきか。同級生たちがそんな話題で盛り上がっているときに、海外生活の準備をしていた南野は、渡航前から少しさみしさを覚えていた。