死刑に参加した刑務官が明かす…死刑囚の「首にロープをかける」瞬間の想像を絶する感覚

昨年12月、確定死刑囚3人の刑が執行されたことは記憶に新しい。死刑執行は2019年12月以来とおよそ2年ぶりで、岸田政権の発足後は初めてのことだ。

死刑とは犯した罪を自らの死によって償う刑罰で、刑法11条で死刑は刑事施設内において絞首にて執行すると定められている。だが、世界では約7割の国が死刑を廃止か停止している。国際的な潮流に逆行する日本には厳しい目も向けられているからこそ、我々は「国が人の命を奪う」死刑に向き合わなければならない。

日本では死刑判決はどう行われ、死刑囚はどんな生活をして、死刑はどう執行されるのか――。漫画家・一之瀬はちさんが実際に死刑に立ち会った刑務官に取材した実録作品『刑務官が明かす死刑の秘密』が注目を集めている。一之瀬さんは反響についてこう語る。

「読者の方々からは単純に死刑に対して賛成・反対意見、そしてそれ以外に『どのように死刑が行われているのかが知ることが出来た』といったことから、中には『(執行の)ボタンを押すのは遺族でも良いのでは?』と言った意見など様々なものが寄せられましたが、死刑の是非は一言で表現できるものではないのだと痛感させられました。

犯罪者側の立場、被害者側の立場、そして執行する立場…。それぞれの立場によって考えもまた変わるのだということに気付かされました。簡単に賛成・反対だけでは済ますことのできない難しい大きな問題だと思いますが、読者の皆様に塀の中で起きていることを知って頂き、死刑について考えるきっかけの1つになれれば幸いです」

「刑務官が明かす死刑の秘密」(一之瀬はち)
 

あの感覚

一之瀬さんが取材したのは、実際に死刑に立ち会った経験のあるM刑務官。大学卒業後、刑務官試験に合格。地方刑務所、拘置支所勤務を経て、現在は某拘置所に勤務している。

「死刑に関わる刑務官の仕事はどれもキツく、メンタルに支障をきたす者も少なくない」(M刑務官)

『刑務官が明かす死刑の秘密』より
 

たとえば死刑囚の首にロープを掛ける係。日本での死刑は絞首刑つまり縊首(いしゅ)と刑法11条で定められている。これは、頸部を絞めることで死をもたらす方法である。死刑執行直前、死刑囚が暴れた場合、複数人の刑務官で死刑囚を押さえつけ、そしてその首にロープをかけることとなる。いわば最後の仕事だ。

「同僚の刑務官にそれが原因で心身症になった者がいます。彼はロープを首に掛ける感覚が忘れられず、手のかけ方のよく似た車のハンドルが握れなくなり、うつとパニック障害を併発してしまった。

『刑務官が明かす死刑の秘密』より

その同僚は長い治療期間を経て復職したが、『ロープをかける』という、一見単純に見える作業には深い闇が潜んでいるのです」

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