2022.07.02
# 競馬 # 凱旋門賞 # タイトルホルダー

「日本競馬の『凱旋門賞狂騒曲』に終止符を打つ」 タイトルホルダー生産者・岡田牧雄氏 特別インタビュー

「アメリカ競馬を目指すべき」

6月25日に行われた宝塚記念は、驚愕のレコード決着となる中、タイトルホルダーが圧勝した。現在の日本競馬の頂点を極めたその走りは、更なる高みを予感させて、見る者すべての心をふるわせるに十分だった。

同馬を生産・育成し、山田弘氏との共有オーナーでもある岡田牧雄氏に取材をさっそく敢行したところ、驚きの発言がもたらされたのである。

「凱旋門賞狂騒曲が加熱してますよね。そろそろ終止符を打つべきタイミングに来ているのは間違いありません。私はもう10年も前から、『ヨーロッパ競馬ではなく、日本はもっとアメリカ競馬を目指すべき』と言ってきました。誰かが勝てば、一連の狂騒曲は落ち着くわけですよ。終止符を打つのは、もしかしたら私のようなタイプが適任なのかもしれませんね」

衝撃発言の裏側には、もちろん、いくつもの経緯や理由が存在した。岡田氏とのやりとりから、そのあたりをじっくりご確認いただきたく思う。

写真提供:一般社団法人umanowa
 

タイトルホルダーの2022年を振り返ろう。今年初戦、日経賞の勝利のあと、天皇賞・春、そして宝塚記念とG1を連覇した。成績だけを見ればすべてが順調に思える。

だが、つい忘れがちになるのだが、年初には右後肢を痛めてしまい、「長期の休養入りか」と不安もささやかれた。実際に今年の始動は、アクシデントの影響を受けて、当初予定されていた阪神大賞典から日経賞に変更されたのだった。

「全レースの馬券を買う――馬を見る目を養うためにも、ファン目線を忘れないためにも、私はもう長く、それを信条にしています。でも、日経賞の馬券だけは買えませんでした。つまりはそれくらい、タイトルホルダーへの不安が大きかったのです。
右の後ろ脚を地面に付けなくなってしまい、『半年かかるか1年かかるか』の報告を受けました。幸い1週間で元に戻りましたけども、何が起きたのか、正直よくわかりませんでした。

レース前の追い切りでも、時計は出ましたけど、菊花賞前のフットワークとはまるで違って、セカセカした感じの走りを見せていて、ボロ負けしたらどうしよう……と心配でなりませんでした。圧倒的な1番人気にも推されていましたから、先頭でゴールした瞬間は、勝てて良かった!と心底安堵したものです。

その後は一転して、天皇賞までの調整は順調でしたね。距離が伸びることもあって、今度は大丈夫、おそらく勝てるぞって、自信を持ってレースを見ていましたから」

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