ALS(筋萎縮性側索硬化症)を検索すると「感覚があるままに体が動かなくなる病気」という説明が多くあります。もう少し詳しい書き方を探すと「筋肉が動かなくなってしまい最終的に自力で呼吸が出来なくなる」という説明がなされています。そして「現在、効果の認定されている治療法がない」といわれている事ことで知られています。ALS罹患を公表して2年半が過ぎ、病状は進行しています。そしてALSという難病の最初の決断の段階に入ってきたと思います。今回は前回の「要介護5」についての思いと合わせ、ALSの日常についてお話ししていこうと思います。

例年にないほど梅雨があっという間にあけ、猛暑が続いています。2019年9月にALSの告知を受けた津久井教生さんは、今年要介護5の認定を受けました。それでも口に割り箸を加えて原稿をひと文字ずつ打ち込み、この連載の原稿を執筆下さっています。そして30年以上続いているニャンちゅうの声を演じ続けています。連載「ALSと生きる」、55回目の今回は、この梅雨と猛暑という季節の変わり目での体調の変化を率直に綴っていただきます。
2020年の「ニャンちゅう」チームの皆さん。左から比嘉久美子さん、津久井さん、鎮西寿々歌さん。鎮西さんはツイッターで「キッズファミリー賞」受賞にお祝いのメッセージも! 写真提供/津久井教生
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「頑張っちゃう要介護5」って素敵です

要介護認定調査のお話をさせていただいたところ、たくさんの方から「津久井さん、分かります。うちの母もなぜか突然頑張っちゃって、できないのに出来るって言っちゃって」というような「調査あるある」をエピソードとともにいただいて笑顔になりました。ええかっこしいで頑張っちゃうのも素敵なことなのだと思うお話に心もポカポカしました。

私の母も亡くなる前に「孫にマフラーを編む」というので、「やってみたら?喜ぶと思うよ」と編み物の大先生だった母に毛糸と編み棒を渡しました。すると「もっと太い毛糸と編み棒があるはず」と即答してきました。そして平編みではなく2段ゴム編みの素敵なマフラーを編み始めたのです。人間が好きでやってきたことって本当に凄いんだなと感動しました。また「身についている」とはこういうことなんだなって母に教わりました。

お元気だったころのお母さまと津久井さん。ユーモアたっぷりな様子は親子そっくり!2019年9月1日、85歳で天国へ旅立たれました 写真提供/津久井教生

そして「少しやる気を出すと能力が維持できるのかな」という気持ちにつながっていくのですね。それからなんやかんやごねつつも「諦めない気持ち」の重要性も感じました。ALS(筋萎縮性側索硬化症)は進行性の難病です。思い返してみると「もういいや」と投げやりになりそうな時もあったように思います。でも、その都度都度「いいやまだまだ」と思ったり、思わせてくれることに恵まれて、踏みとどまってきたと思うのです。

たくさんの方からいただいた「あるある」は、お会いしたこともない皆さんからのエールだと思います。そして皆さんと「あるある」を共有することで、少しでも元気の共有も出来ればと思うのです。医学の発達とともに人間は長寿になって、そこに介護という現状が現れているのです。まだまだ始まったばかりの介護社会の中で「ALSと生きる」をIN体感していきます。