冬に感じた絶望のカウントダウン

2021年12月の冬への変わり目は、全身に寒さが浸透して体がこわばるような感覚に何度も襲われました。それがじわじわと腕に広がっていき、動かないまでも感覚的には少し動作のイメージが残っていた部分に影響していきました。毎日少しずつ右手の親指が動かなくなっていくのです。ゆっくりとなら動いていたのに、1日から3日くらいで1ミリくらいずつ、動かなくなるのです。

マウスのカーソルのボールが少しずつ重くなってきて動かなくなってきます。当然対処方法としてボールをちょっと動かせば、カーソルが大きく動くようにしていきます。汗だくになってしまう指に触られてマウスのボールがびしょびしょになるので、その都度静電気が起きるくらいに丁寧に拭いてもらいます。訪問看護のPTさんに指を中心にリハビリテーションとメンテをしてもらいました。

介護の皆さんにも「その日に合わせた最善のマウスの持ち方」を時間をかけてやってもらいました。最終的にはミリ単位の確認をするマウスの持ち方を毎日模索してもらいました。そして、肘で支えてポジションを取るために、よく寝たきりの際に「床ずれ」と言われる褥瘡(じょくそう)予防をしなければいけないので、予防シートと共に肘のポジションを変えるということもしていたのです。これだけ大変な感じで介護をしてもらっていました。

それだけ皆さんに手伝ってもらったにもかかわらず、「あれっ、右手親指がおかしい」と感じ始めて1ヵ月余りで動かなくなりました。マウスのボールに親指を乗せてもらって前後左右に1センチずつ動かせれば最低限の作業は出来るように設定してあったのに、それが出来なくなったのです。最後の方は「あれっ、このままちょびっと動く状態で継続するかな」と思わせた次の日に動かなくなりました。

2021年はサムアップできていました 写真提供/津久井教生
 

朝起きたら動かないのです。「あぁ~もう~、寝るんじゃなかった!」などという間違った発想を口走ってしまいます。でもこんな風に愚痴りたくなるのを分かっていただけるとありがたいです。動かなくなることはわかっていても、確実にカウントダウンで進行してくるのです。カーソルが動かせないとスクリーンキーボードも使いにくくなるので「現在やっている割り箸入力での作業もこれで限界かな」と絶望しました。

割り箸入力には右手の親指が大活躍をしていました 写真提供/津久井教生