「季節の変わり目を乗り越える」ということ

待ち望んでいた桜の季節を迎えて、無事にニャンちゅうシリーズも30周年を迎えることが出来ました。たぶん大丈夫であろうとは思っていましたし、周囲の皆さんの協力をいただいて走り抜けさせていただいたと思います。しかしながら、番組などの年度の一区切りと関係なくALSの進行は止まることなく続いています。2019年10月のALS罹患公表から進行速度は変わりません。

ALSの告知を受け、最後にニャンちゅうとピアノを 写真提供/津久井教生
 

今年の春は昨年以上に花粉症の影響を大きく受けたと思います。普通の方でもティッシュペーパーを常備して鼻をかみ、口呼吸しかできないうえにくしゃみも多くなり体力を使い、頭がぼぉ~っとする病気です。この症状で手も足も動かないのです、自分で処理が出来ないのはかなりきつく体力を奪われるのです。その上に、喉に流れ出る鼻水の処理が追い付かなくなりました。

季節の変わり目に体に起こった花粉症が引き金となって、例年になく痰の増加を引き起こしました。そしてALSの呼吸器系の衰退と合わさって、喀痰の困難さを進行させてしまいました。昨年は例年通りの花粉症でしたが、今年はALSの進行と相まって、痰吸引器の導入を考えるに至る喀痰騒動への発展につながっていったと思います。そして嫌なのが一度発動するとそれが生活の基盤になることです。

季節の変わり目は、健康かどうかの試練を与えているのではないかと思うのです。健常な人にはなんてことない季節の移り変わり。健常な時には日本の四季の移り変わりが「風情あるもの」ととらえることが出来ていました。ところが今年はやっと花粉などの影響や三寒四温の温度差から逃れたと思ったら、気温も気圧も落ち着かないまま梅雨に突入してしまいました。そして次に猛暑が続いています。

身体が動くならいざ知らず、ALS罹患公表から3年弱で手足が動かなくなるまで進行した状態で思う事があります。健常な人でもクーラーを入れないとダメージを受ける季節の移り変わりの気象は、たとえクーラーを入れてもらって手厚い環境にいても大きなダメージなのです。何が原因なのか分からず体に力が入らなくなるので、少し弱気になってしまいます。悔しいですが、季節の変わり目の影響が如実にわかる2022年の梅雨なのでした。

ヘルパーのAOIさんとIGAさんに髪を切ってもらいました。本当に色々とお世話になっています(動画も合わせてチェックしてください!)写真提供/津久井教生

【次回は7月16日(土)公開予定です】

津久井教生さん「ALSと生きる」今までの連載はこちら

「津久井チャンネル」で2021年7月1日に公開した動画。今回のテーマはヘアカット。動画ではまさかの「頭を掃除機」!なるほど!!