雑誌編集や教育雑誌のライターを長くしてきた高清水美音子さん。息子と夫が病気で天国へ旅立ってしまった後、自身が「多系統萎縮症」という進行性の難病であると告知されました。

一時期は後を追うことも考えた高清水さんが「仕事をしたい!」と一念発起、就職活動を始めましたた。そこで直面したことを率直に伝える連載「障害者雇用の現実」、第2回はハローワークに行ったあと、大企業の面接を受けたときのことを綴っています。前編ではまるで「障害者雇用人数」を満たす事しか考えていないような就職試験について詳しくお届けしました。さらに「大企業」の面接を受け、直面したこととは。

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目を合わせない面接官

「超一流企業に勤められますから」と、とりあえず受けさせられた大企業の採用面接で、「ああ、とても失礼な対応をされていたことにわたしは傷ついているんだ」と認識したあとのこと。
「断っていいですから」
と、半ば強引に行かされた、某信託銀行と、また別の不動産屋のリモート面接は、もっとひどかった。

某信託銀行の面接官のオジサンは、わたしとまったく目を合わせない。そして、相変わらず、「なぜ転職したんですか」というところばかり、気にしている。このころ、ライター案件がなかったから、やっぱり事務しかないのかなと、Excelも学んでいた時期だったのだけど。

Excelも学び始めていた Photo by iStock

わたし 「最近、Excel猛勉強してるんです! Vlookup関数とか、できるようになりまして……」
オジサン 「ああ、そういうの、現場では使いますね……」

と無関心。それより、いくつか希望した支店のことを気にし始める。
オジサン「銀行ってけっこう、1階と2階の移動があるんですよ。あそこの店舗、手すりついてたかなあ」

いくら「断っていい」と言われてきた面接だとしても、この面接官、わたしに全然向き合ってない。「障害者のキャリアアップにも力を入れている」って言ってたエージェント、ずいぶん盛ってくれたなあ……。見ているのは、わたしの障害の程度と、どんな人物か。これも「引きこもっていたんじゃないか」、「ヘンな人じゃないか」と、実物? を見て判断するという意味ね。面接に来た障害者に、どんな可能性があるのか、将来性は? なんて、見ようという発想すらないのでしょうね。

わたしの心の声が聞こえたのかどうか、わからないけど、
「うちは、障害者雇用の人数、クリアしているんですよね」
と、聞いてないのに、言う。
「それでも、こうやって障害者雇用、続けているんですよ」
「大企業に勤められますよ」

と、ポロッと言う、オジサン。興味を持たれず、さりげなく観察だけされて、だんだん、
「ぼくたち、人間。あなたたち、障害者という違う生き物」

と言われているような気持ちになった。オジサンは口に出さないけれど、わたしとの間にくっきりと、深い深い溝が見える。