2022.07.04

足も脳も心臓も! イモリの“意外すぎる”再生能力の「秘密」

謎多きイモリの魅惑の世界

「トカゲの尻尾が切れても再生する」ことは有名ですが、この地球上には、「再生のチャンピオン」とも呼ぶべき、桁違いの能力の持ち主がいます。それは両生類の「イモリ」です。足だけでなく、目や脳、心臓といった臓器まで自力で元どおりにし、しかも繰り返し再生できてしまうと言います。

夢のような再生のパワーに研究者たちも魅了されてきましたが、一方で“常識外の生き物”と言われ、メカニズムの多くはいまだ謎のまま。

ところが、4年前、生物学の常識を覆す大発見がありました。再生の秘密がなんと「赤血球」で見つかったのです。哺乳類の場合、赤血球は酸素を運ぶことに特化していますが、イモリの場合、傷口付近の細胞に対して、「時間を巻き戻す」ような効果を与え、再び体を作り直している可能性が浮かび上がってきました。イモリ特有の再生とは、いったいどんなものなのでしょう!?

「イモリ」の再生力の秘密を解き明かせれば、ヒトの再生医療に生かせるかもしれないと期待がかかっています。ゲノム解析などの最新報告も含めて、イモリの謎めいた再生力に迫ります。(NHK「サイエンスZERO」取材班

日本の固有種アカハライモリ/NHK提供
 

何度でも再生する“常識外”のパワー

イモリは、失った足は5ヵ月ほどで、一部分が大きく欠けた心臓は1ヵ月ほどで、傷痕を残さずに再生させることができます。また足や目などは、機能までも回復することがわかっています。しかも、一生を通じて何度でも再生するという、常識では考えられない仕組みを備えているのです。

イモリの足は5ヵ月ほどで完全に再生する/NHK提供

トカゲも尻尾が切れても、再生することはよく知られていますが、トカゲとイモリではその仕組みが全く異なります。トカゲの尻尾には、もともと切れ目のようなものが入っていて、敵が現れると抜け落ちる仕組みになっています。敵の注意をそらしている間に、逃げるという行動ができるわけです。

抜け落ちたトカゲの尻尾の部分には、体のバランスをとるための棒のような形をした新たな軟骨が生えてきます。これは進化の過程でトカゲが獲得した能力です。

一方、イモリの体にはあらかじめ抜け落ちるように設計された部位はなく、傷口から新たに組織が生まれます。その驚異の再生力は、もともと他の生き物も持っていたのか、はたまた進化の過程でイモリだけが突然獲得したものなのか、はっきりとしたことはわかっていません。

一部が大きく欠けたイモリの心臓(左)は、1ヵ月ほどで完全に再生する(右) /広島大学両生類研究センター 林利憲教授・NHK提供

この「他に類を見ない再生の仕組み」を解明できれば、ヒトの再生医療に応用できるかもしれないと、あらゆるアプローチから、イモリの再生システムに迫る研究が進められています。

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