2022.07.05
# アメリカ

中絶の権利を国民が必ずしも全面支持出来ない米国の困った妊娠事情

「避妊の代わり!」選挙への影響限定的

「中絶は違憲」半世紀ぶり判断に大反発

“大理石の宮殿(marble palace)”とは、米連邦最高裁判所を指す。その名の通り大理石で表面を覆われた荘厳な建物は、米連邦議会が法律を制定する議事堂からわずか1ブロックの距離にあり、独立した機関として米国での三権分立の一角を成す。

米連邦最高裁判所は口頭弁論や審理を経て、会期末にあたる6月にかけ、命令や判断を下す傾向がある。今年は、6月24日に最高裁が女性に中絶の権利を認めた1973年の「ロー対ウェイド」の判断を覆し、全米に大きな波紋を広げた。約50年にわたって合憲としてきた女性の権利を奪ったとして、大きな反発を招いている。

なぜ、米連邦最高裁でこのような判断が下ったのか。事の発端は、2018年に成立した妊娠15週以降の中絶を原則として禁じるミシシッピ州法をめぐり、ミシシッピ州保健局と同州ジャクソン女性健康機関の間で争われていた訴訟にあった。

本件の最終判決として、1)ミシシッピ州法は合憲、2)1973年の「ロー対ウェイド」(妊娠24~28週までの中絶を認める内容)で女性の権利を認めた判決を撤回―との判断を下したわけだ。最高裁の判断を受け、今後、中絶に関し各州が法律に基づき制定することとなった。

米連邦最高裁の判事は、長官を頂点に9人で構成され、多数決で判断が下される。トランプ前大統領が在任中に3人の保守派の判事(ブレット・カバナー、ニール・ゴーサッチ、エイミー・コーニー・バレット)を送り込んだため、足元で最高裁の判断は保守色を帯びる傾向が強い。例えば、今年だけでも中絶の権利に加え、銃規制や気候変動対策、信仰の自由など多数派の保守系判事の判断のみが反映された。

 

最高裁長官・判事の保守・リベラル度

米連邦最高裁、過去数年の主な判断

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