岸田 vs 安倍、防衛省人事から見えてきた安保政策「主導権争い」の構図

「ローン」を返済し続ける事態に…

異例の事務次官退官

安倍晋三氏の首相秘書官を6年半にわたって務め、安倍氏との関係が深いとされた島田和久防衛事務次官が1日、退任した。

後任の事務次官は防衛装備庁長官から横滑りした鈴木敦夫氏。「上がりポスト」の装備庁長官からの就任は初めて。官僚トップの事務次官職は後輩に引き継がれるのが通例だが、島田氏と鈴木氏は同期でもあり、異例の人事を物語る。

防衛事務次官を退任した島田和久氏(防衛省のホームページより)
 

今年12月には国家安全保障戦略、防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画の3文書を改定する大仕事を控え、島田氏の続投が確実視されていた。6月17日になって急遽、降板が閣議決定された。直前に知った安倍氏と安倍氏実弟の岸信夫防衛相が猛反対したが、岸田文雄首相は聞き入れなかった。

防衛省ポストの内閣副官房長官補に転身する道もあったが、岸田氏は指名せず、結局、政権中枢から締め出した。一方、岸防衛相は7月1日付で島田氏を防衛相政策参与と防衛省顧問に任命したが、その影響力は事務次官と比べ物にならないほど小さい。

首相の狙いはどこにあるのか?

岸田氏の狙いは、安倍氏へのけん制にほかならない。その火種は6月に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針「骨太の方針」にあった。

「骨太の方針」は、焦点の1つだった防衛費について、北大西洋条約機構(NATO)加盟国が国内総生産(GDP)の2%以上を目標としていることを例示し、防衛力を「5年以内」に抜本的に強化することを明記した。

だが、原案には「5年以内」の文言はなかった。

岸田氏は経済財政諮問会議などの会合で「わが国を守り抜く防衛力を構築すべく、さまざまな取り組みを積み上げて予算を確保していく」と述べるにとどめ、「期限ありき」ではない姿勢を示していた。

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