「ボルシチはウクライナ料理」とユネスコが決定…日本人がロシア料理と勘違いする「背景」

「緊急に保護する必要がある」

7月1日、ウクライナのボルシチ料理文化が、ユネスコ条約締約国の代表で構成される無形文化遺産保護政府間委員会により、「緊急に保護する必要がある無形文化遺産リスト」に登録された。

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ボルシチとは、ビーツでとったスープにキノコや魚、ピーマンを加えた赤いスープで、大鍋でつくってパンと一緒に食べるウクライナの食文化に深く根付いている。
ウクライナ人は、なぜこの料理が敵国たるロシアの代表的料理だと思われているのか、長い間不思議に思っていたようだ。

米ニューヨークタイムス紙(7月1日)によれば、「ロシア料理の歴史家の中には、ボルシチの起源がウクライナであることを認める人もいる。

ただ、ロシアはソビエト連邦の崩壊以降、このスープについて独自の主張をしているようだ。2019年、ロシア政府はTwitterアカウントにレシピを掲載し、<ボルシチはロシアで最も有名で愛されている料理の一つ>と宣言するメッセージを掲載した」のだという。

 

盗んだのは母国の料理です

そこに反発したのが、ウクライナだった。

ウクライナ人の間では、ロシア政府のツイッター投稿に対して「クリミアを盗むだけでは物足りないのか、ウクライナからボルシチも盗まなければならないのか」などとする強烈な反発が起きていた。

2020年、ウクライナ人のシェフの一人が、ボルシチをウクライナの文化遺産として登録するようユネスコに申請するキャンペーンを開始。翌年、ユネスコはボルシチを同国の文化遺産に登録された。

今回、ユネスコは、それよりもさらに踏み込んで「ウクライナのボルシチ料理文化」を「緊急保護」が必要な伝統のリストに加えることを決議した。ユネスコのプレスリリースによれば、ボルシチ料理は「ウクライナ全域で古くから行われている文化」「ウクライナ社会の構造、文化遺産、アイデンティティ、伝統の一部」だとして、「武力紛争が<ボルシチ料理>の存続を脅かしている」と指摘している。

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