投票が締め切られたあとに流れる情報
そして、系列局や資本関係のある新聞社とも組んで、「1分1秒でも他局より早く当選確実を打ち、1%でも他局より高い視聴率をゲットするために」選挙特番に向けて全社を挙げるのだ。
しかし、その番組が流れるのはあくまで投票が締め切られた後のことだ。すべてがまさに「後の祭り」とも言える時間帯に、各放送局は熾烈な競争を繰り広げているというシュールな状況がいわば当たり前のようになっていたわけだ。
では、選挙期間中のニュース番組はどうか、というと最近ではあたかも「できるだけ選挙のことは触れないようにしている」かのようだ。「放送法でそう決められているから、そうしなければならない」と、テレビマンの誰もがそう思い込んでいる「公正中立な選挙報道」というやつにがんじがらめに縛られて、各テレビ局が沈黙してしまっているのが悲しい現状だ。
みなさんが選挙期間中に見るニュースの内容をざっと思い出してみてほしい。まず思い浮かぶのが「各党党首などが一堂に会した絵柄」だろう。だいたい「各党とも1分で」などと言われて、いくつかの質問について各党の代表者が均等に答えていく「あれ」だ。

そして次に浮かぶのが「注目の選挙区」だ。激戦になりそうだったり、候補者が乱立したり、大都市だったりする選挙区について、候補者にどんな人がいるか、どんな選挙戦を繰り広げていて「ほぼ同じ分量で均等に」紹介したVTRがだいたい定番だ。街頭演説などもだいたい「公正中立にするため」ほぼ同じ秒数になるように編集されている。
それでも具体的な内容がある、と思えるのはこのへんまでではないだろうか。あとはだいたい「観念的」な内容なものだ。
例えば「若者はなぜ選挙に行かないのか」を特集してみたりとか「若者に選挙に行くよう呼びかけている人がいる」のを紹介してみたりとか。あと、「今回の選挙で焦点となっていることに、こんなことがある」というのを紹介してみたりとか、はよく目にされるのではないか。