BPOの見解
しかし、実際にはいまほとんどの放送局の報道の現場は、萎縮してしまっている。上層部は「各党の放送時間ができるだけ均等になること」と「各党まんべんなく一つの番組で均等に取り上げること」だけを強調して現場に指示しているために、各番組ともプロデューサー以下「忖度と問題を起こさないための配慮」だけに精力を注がざるを得なくなっている。
そしてその根拠として現場のテレビマンたちが考えているのが「放送法の規定」だ。放送法の第4条で「政治的に公平であること」と定められているため、「選挙期間中は各党を均等に扱わなければならない」と現場は思い込んでしまっている。「これを守らなければ、停波なども含めた行政処分の対象となるのではないか」と恐れてしまっている。
しかし、実はこれは大きな間違いだ。BPO(放送倫理・番組向上機構)の放送倫理検証委員会は2017年2月に「2016年の選挙をめぐるテレビ放送についての意見」という文章の中で「放送法の番組編集準則は倫理規定」「放送局には選挙に関する報道と評論の自由がある」「選挙に関する報道と論評に求められているのは量的公平ではない」と明確に述べている。
実は、選挙期間中だからといって、自由に報道や論評をしてはいけないわけではない。「A党のこうした政策はおかしいのではないか」と述べる自由はあるのだ。
しかも別に量的公平を求められているわけではないから、各党を均等に一つの番組内で扱う必要はないのだ。