2022年6月、SNSで知り合った男性と会った後、行方不明になった23歳の女性が茨城県で遺体となって見つかるという痛ましい監禁死事件が起きた。

これまでにも旭川の女子中学生凍死事件のようにSNSが関連する深刻な事件・犯罪は多発している。しかし「事件」として明るみに出るのはごくごくわずかだ。今現在、親や大人に相談することもできず、ネットやSNSのトラブル(いじめ・性被害・詐欺など)をひとりで抱え、自死を考えるほど追い込まれている子どもは、大人の想像をはるかに超えた数にのぼるのではないか。

生まれたときからインターネットと共存してきた「デジタルネイティブ」と呼ばれる世界中の若い世代は、ネットの利便性を当たり前のものとして享受すると同時に、親世代が子どもの頃には存在しなかった大きなリスクにさらされながら生きている。

以前、映画『SNS-少女たちの10日間』を親子で観て息子とあれこれ話し合ったライターの太田奈緒子さんが、今回、韓国で起きた史上最悪のネット性犯罪と呼ばれる「n番部屋事件」のドキュメンタリー作品『サイバー地獄: n番部屋 ネット犯罪を暴く』をふたりで観た。

高2の息子が「前観た(『SNS-少女たちの10日間』)やつより、ずっとしんどい」と語った理由とは?

以前太田さんが寄稿した『SNS-少女たちの10日間』の記事
『2458人のオオカミが少女たちを誘う現実を見て、15歳の息子と話したこと』
YouTube(Netflix『Cyber Hell』予告)
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韓国史上最悪のネット性犯罪「n番部屋事件」とは

「n番部屋事件」は、2018~2022年にTelegram、Discordなどのメッセンジャーアプリ内で起こった韓国の大規模なデジタル性犯罪事件だ。加害者たちは被害者(主に女子中高生)を「奴隷」と呼び、彼女らの個人情報を盗み取って脅し、送らせた性的な写真、動画などをアップして仲間内で共有。

加害者で主犯格の「博士」(チョ・ジュビン・現在27歳)と「カッカッ」(ムン・ヒョンウク・現在27歳)らは、「n番部屋」と呼ばれる複数のチャットルームを制作・運営していた。そこに集う参加者は、性的搾取の写真・動画を回覧するにとどまらず、ネットを通じて「奴隷」たちに過酷で残虐な性的命令をしたり、自傷行為を強要するほか、彼女らの普段の姿や自宅を隠し撮りする、実際に集団暴行を行うなどのストーキングや性犯罪を行う者もいた。被害を受けた少女の中には、絶望して自ら命を絶ったケースも……。

同世代の多くの女性たちが被害を受けていることを知った匿名の女子大学生2人組は、果敢にも独自潜入し、「追跡団花火」という名前で事件を公表。それをきっかけにマスコミや警察も真相究明にあたり、2020年、主犯とされる2名(それぞれ懲役34年・42年の刑が確定)を含め、3757人が逮捕された。しかし性的搾取物の閲覧者の累計は26万にも及ぶといわれ、一応の事件の収束となった今も、こうした画像・動画はチャットルームやダークサイトで密かに取引されているという。

photo/iStock