レビュースコアの「アルゴリズム」はなぜ非公開なのか?

「食べログ」裁判とプラットフォームの責任
飲食店を利用したり、商品を購入する際に多くの人が参考にするレビューサイト。サービスを提供する側もされる側も、気になって仕方がないレビューでの点数やランキング。その際に用いられる「アルゴリズム」とはいったい何なのか。デジタル・メディア論の研究者が解説する。

2022年6月、飲食店のレビューサイト「食べログ」の「アルゴリズム」に関する裁判が話題となった。「食べログ」では、一般ユーザーからのレビュー投稿をもとに集計を行い、5点満点で評価点数(レビュースコア)を表示している。この集計はユーザーの投稿を単純に平均したものではなく、独自の「アルゴリズム」によって計算されたものだ。

原告は食べログに掲載されているチェーン店の運営会社で、東京地裁は食べログのアルゴリズム変更によって当該店舗のレビュースコアが下がり不利益を生じたと認定し、食べログ側に賠償を命じる判決を下したという。

原告側の主張は、食べログが「優越的地位を濫用」して「アルゴリズム変更」を行ったことでレビュースコアが平均約0.2点下がり、それによって店舗のランキングも下がったため客足と売上が減少した、というものだ。以前拙稿でも論じた通り、まさにランキングが情報選別の手段として日常的に利用されていることによって、店舗の経営に大きな影響を与えてしまうことを示す事例といえるだろう。

この判決の法的な妥当性については、法律の専門家の判断に委ねるとして、本稿では筆者の専門であるデジタル・メディア論の立場から、現代のメディア環境におけるアルゴリズムのあり方について検討してみたい。

アルゴリズムとは何か

近年GoogleやSNS、Amazonや食べログなどの「デジタル・プラットフォーム」が普及したことや、それらのサービスにおける「AI」の活用が進んだこともあり、「アルゴリズム」という言葉に触れる機会が増えている。

「アルゴリズム」とは、コンピューターのプログラムの動作を規定するルールや論理、手順のことを指す。広い意味では、コンピューターの動作だけでなく、人間の行う動作のルールや手順のことも含む概念である(一例では料理のレシピなども広義のアルゴリズムである)。

アルゴリズムと聞くと専門的で難しい印象をもつ人もいるかもしれないが、たとえば「信号機が赤だったら停止し、緑だったら進行する」という論理もアルゴリズムのひとつだ。この例のように、アルゴリズムは「もし〇〇が××だったら、△△する」という条件分岐と指示の組み合わせによって構成されている。

食べログをはじめとするレビュースコアの数値も、そのスコアを計算するためのルールや手順がシステム上に設定されている。このアルゴリズムの設計次第で、レビュースコアの計算結果は大きく変わってくるのだ。

アルゴリズムはどこにでもある

食べログやAmazon、楽天市場やGoogleマップなど、ユーザーの評価に基づいて店舗や商品のレビュースコアを表示しているプラットフォームは多い。レビュースコアだけでなく、Googleの検索結果ランキングや、SNSのタイムライン、YouTubeのレコメンド(おすすめ動画)など、アルゴリズムはあらゆるサービスに介在している。そのどれもが各プラットフォーム企業固有のアルゴリズムであり、その内容はまさに秘伝のレシピのごとく、非公開とされることがほとんどだ。

検索結果やレコメンドなど複雑なものならともかく、レビュースコアというのはユーザーが評価した点数を集計するものなので、「そんな複雑なアルゴリズムなどいらないのでは?」「点数を単純平均すればよいのではないか」と思う人も多いかもしれない。

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