2022.07.30
# ライフ

失業、自身の障害、ついには闇金に手を出して…22歳から突然「若者ケアラー」になった青年の過酷な日々

若くして祖父母や、両親の介護を担わざるをえなくなった「ヤングケアラー(若者介護者)」。日本では18歳からおおむね30歳代までのケアラーを「若者ケアラー」と呼び、今回ご紹介する拓真さん(29歳)もその一人だ。

以前の記事でも少し触れたが、拓真さんは、母親の介護と仕事のトラブルで精神疾患を発症。経済的にも困窮し、やがて自殺を考えるように……。

そんな拓真さんの壮絶な日々と、ヤングケアラーが置かれている厳しい現実を、『おばあちゃんは、ぼくが介護します。』の著者で、自身もヤングケアラーの経験を持つ奥村シンゴさんがつづる。

突然始まったヤングケアラー生活

拓真さんは、関東在住の29歳。父親、母親、次男、三男の5人家族でした。

今から7年前、22歳のある日。一緒に出かけていた母親が、路上で突然転倒。拓真さんはあわてて救急車を呼び、病院に同行しました。

主治医は「脳出血です。命に別状はありませんが、両足に麻痺が残るでしょう」と診断。

「治療やリハビリで、なんとか普通の日常生活が送れるように治ってくれ、頼む」

拓真さんの願いもむなしく、母親の両足には後遺症が残り、介護が必要になりました。

Photo by iStock
 

拓真さんは、父親に介護を協力してほしいと頼みました。

「新型コロナウイルスの影響で、会社の経営が悪化して収入が大幅に減ったんだ。拓真、お前が面倒みてくれ」(父親)

拓真さんは、父親のまさかの無責任な返答に呆れを通り越し、怒りを覚えました。ところが、拓真さんは、父親が過去に母親を殴ったり首をしめたりしているのを目撃しており、父親の目を見ることさえ怖く、これ以上抵抗できません。

次男は、仕事をせず遊び回っていながら、「長男なんだから、母親の世話をして当たり前だろ」と介護を拒否。そして三男は、遠方で仕事中のためなかなか実家に帰れず……。

拓真さんは、「自分より母親が長生きすればいい」と人一倍の母親想いな性格でした。

結局、拓真さんが22歳の若さで母親の介護をする、若者ケアラー(18歳からおおむね30代までのケアラーのこと)生活が始まりました。

母親は退院後、要介護認定で「要介護1」と判定され、両足が麻痺しているため拓真さんが介護を続けました。

加えて母親は、家で拓真さんと一緒に過ごしたい、人間関係がわずらわしいとの理由でデイサービスを拒否。拓真さんは洗濯、買い物、食事の準備、病院の付き添い、爪を切るなど、母親の身体的・感情的ケアに追われました。

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